(父×後妻)+(息子×嫁)=?
★★★★★
レビュータイトルの数式は帯に書かれたものだが、カッコ内の組み合わせを見るとフツーであり、当然ながら本作はこの組み合わせがクロスする話である。霧原作品と言えば「義父と嫁」あるいはこれに類する組み合わせが多く、この両名それぞれの相方である妻や息子(嫁の夫)が大体においてお亡くなりになっているか出番が無いのだが、これが存命して出番を設けてカップルになったら?という試みと推測できる。そして、この試みは成功したようである。
妖艶な美女を後妻に迎えた主人公だが、もう老齢に差し掛かっており夜の営みが覚束ない。しかし、同居する清楚な嫁に対してはそうでもなく、何かと意識してしまうところに思い付いた企み。これが“歪み”の始まりである。この辺りまではオーソドックスな霧原作品らしく進む。“覗き”や“寝取られ”といった霧原作品の定番要素を散りばめ、自分にとっては義母である後妻を想う息子視点の情交描写も盛り込みつつ、ややダメオヤジな主人公の身勝手な嫉妬心がムラムラと湧き立つに至るのだが、この仕返しとばかりに嫁を襲う展開が加わっていく。要するに、嫁をモノにするお題目を得た訳だが、ここからはかなり凌辱色の強いものとなる。嫁の弱みにつけ込み、まさに「手篭めにする」という強引さと卑劣さを見せる主人公は相当にダメオヤジと化している。
結果的に夫婦交姦の様相を呈してくる中にほどほどの修羅場と和解を経て結末へと向かうにあたっては、最後にちょっとしたどんでん返しっぽいオチが待ち受けている。愛情と肉欲の不一致とも言えそうな態度を見せる嫁。あれだけ義息ラヴだった後妻が見せた主人公への恋情らしきものと嫁への対抗心。やや唐突で強引に結びにいった感じもする、さほど明るくもない結末だが、女性陣の心の奥底を垣間見せるものでもあった。「実用性」も高く、一風変わった作品としておすすめしたい。