曲を知る以上に価値のあるショスタコを知る1枚
★★★★★
ショスタコーヴィチの中でもさらにマイナーなピアノ曲を集めたアルバム。しかし、「馬あぶ」のように魅力的な旋律を持つ作品も含まれている。ショスタコの多面性、皮肉、不思議な構成感など配慮の行き届いたバランスで見事に演奏されていて、思わず「さすがアシュケナージ」となる録音。また、ショスタコ15歳当時の作品も収録されているが、さすがにまだ多面性はないものの、その完成度の高さに驚かされる。ピアノの音色は本当に透明でピアニスティックで純度が高い。あらゆる情感が透き通って見えるようだ。アシュケナージならではのアルバムである。