哲学が無くて残念。
★☆☆☆☆
ロメロ作品として認めたくないぐらい、哲学を感じられない作品です。
今までのどの作品よりもゾンビの存在意義がなくて、彼らがかわいそうなぐらい。
今回のテーマである「映像」にこだわって、ゾンビを活かしてあげないと!!
徹底的に人間の残酷さを暴いていくようなシーンを期待しただけに、
無駄な演出、現場で書いたかのような脚本、緊張感の無い芝居と
ダメなところばかりが目に付きます。
特典映像のメニュー画面(!)のようなモノクロ静止画像は非常に素晴らしいので(笑
原点回帰するなら全てモノクロでやっても面白かったかもしれませんね。
正直、ロメロは枯れました。そうは思いたくないけど。
過去の作品まで冒涜することになりそうなので、続編は無しでお願いします。
キャラについての考察
★★★★★
登場人物の中でもっとも感情移入できたのは誰か? ヒロイン的な位置付けのデボラ姉さんが他のどこか頭のねじが緩んでいるとしか思えない面子の中では、唯一その言動や行動にそれなりの説得力が感じられ、ともすれば作品自体が破綻しかねないダルな展開に辛うじて歯止めを掛けてくれた、僕はそんな印象を抱きました。 しかし思い返してみると、物語の中盤で「大学教育まで受けて迷子かよ。」と自嘲気味につぶやいたジェイソン君にもある種の親近感を抱いた事は否定できないんです。それまでは自分本位で偏執狂的な性格で仲間が危機的状況に追い込まれても、頑なに傍観者として振る舞う彼に怒りさえ覚えたのですが、これは裏を返せば異常な状況下だからこそ目の前で起きている事象から一歩引いたスタンスを保ち続ける事でしか自分のアイデンティティを維持できない、そんな風にも受け取られ人間の持つエゴは根源的な弱さから生み出されるモノなんじゃないだろうか?とつくづく考えさせられるきっかけを与えてもらった様な気がします。 この作品に込められたメッセージには奥深さを感じずにはいられません。 二度三度と鑑賞する事をお薦めします(生理的に受け付けない方は別として)。
星5つは無理がある
★★★☆☆
ジョージ・A・ロメロの作品、すべて見たわけではありませんが面白いし好きです
ただダイアリー・オブ・ザ・デッドは期待していただけあって肩透かしを食らわせられました
細かいところやテーマはよかったのですが、主観撮影という点では他の主観撮影の作品より劣るところを感じました
ハンディカメラで取っているという雰囲気はクローバーフィールドの方が圧倒的に演出できていると思います
それに途中監視カメラからの映像も流れます
これに関しては最初から最後までハンディカメラからの映像でやってほしかった
見るならあまり期待しないで見ないほうがいいかも・・・・
見届けるしかない…!
★★★☆☆
とにかくワクワクして待っていた。
物心着いた頃から「ゾンビ」「クレイジーズ」に衝撃を受けた同世代の方々と同じ思いを抱き劇場に足を運んで作品が始まるのを…。
新しい試みにあえて取り組んだロメロ巨匠の心意気にはファンとしてはやはりエールを送りたい。
しかしあえて現代社会の判りやすいテーマをまた若者視点で撮りあげるべきだったのか?
「ランド オブ」の時もなにか釈然としない作品感想が残ったのは、マニア間でも囁かれていた最終作
「トワイライト オブ デッド」で死者達は朽ちてゆくのではというゾンビサーガの終末が描かれず
なにか意識を持ち始めた死者達の自己革命のような展開が、そもそも現実的ではないシチュエーションを
マンガチックな神話(マンガを貶める意味ではない)のように変化してしまったからではないか?
そして今作品におけるインターネットというシチュエーションに固執する主人公やあるいはそれを投影しているロメロ自身は空虚で稚拙である。なぜならインターネットとは万能のメッセージ伝達機関でも記録媒体でもない。インターネットもPCも電気がなければ、全く無意味であり、インターネットに限っていえば、プロバイダーと金(契約)があっての存在だからである。(停電を経験している方ならあの無力さをご理解いただけるだろう)
その点にあえて触れずに「映像」という記録にこだわりたかったのであれば、ラストは虚しいエンディングだ。
その部分はやはり同時期だっただけに「クローバーフィールド」と比較され、辛い感覚を覚える。
あの作品の「残された映像」というシチュエーションは圧倒的にせつない存在感をもって心に残るからだ。
また「REC」の徹底したドキュメントタッチの臨場感はその場で体験しているかのような緊張感と恐怖を表現しきっている。
今作は自分たちが成長と共に見続けてきた既4部とは時間軸も違う、死者復活という事象をあえて現代社会で描き、
昨今次々に制作されているそれこそロメロゾンビをみて育った世代達の数多くの作品に対する自己の新たなる本家デッド作品のアピールだったのだろうか?
しかし観客は新たなる衝撃やインパクトを求め、作家たちもそれを上回る映像作品を表現しようと次々にパワーとアイディアをそそぎ我々を惹きつける。
結果「28日後」「ドーン オブ デッド」「REC」などの現代ホラーの傑作が誕生し、ロメロはクラシックとなってしまったように思える。
しかしクラシックはクラシックの味があり、好事家がそれを楽しめば良いんだと思う。
それは今、アートに寄って評価が高くなった同世代のクローネンバーグや、デ・パルマ等に比べ多少観る側としては寂寥感もあるが、ロメロという作家は、かつてサスペンスの傑作がヒッチコックであり、ジョン・フォードやハワードホークスが西部劇の巨匠であったように、既にゾンビジャンルの歴史の一部なのだ。(カーペンターしかり)
期待していなかった分、予想以上に楽しめた
★★★☆☆
30年近く前にテレビ放映で「ゾンビ」を見て以来のロメロファンです。
それから今まで「ゼアズ・オールウェイズ・バニラ」以外の全作品を制覇しました。
前作「ランド・オブ・ザ・デッド」は、設定が現実から遊離してSF色(というかアメコミ色?)が強くなっていたことと、ロメロのゾンビ作品の中でも商業映画的要素が強く感じられたこと、それらが要因でロメロらしさが薄れていたことが個人的に残念でした。
そんな前作への印象に加え、「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」に対する他の方のレビューを読んで、正直なところ、見る前に期待は殆どしていませんでした。
そのため、ロメロファンと言っておきながら今さらながらの鑑賞となったのですが、想像していた出来よりも遥かに良かったです。充分に楽しめました。
メジャースタジオなどの資本が入った大作よりも、こういったインディーズ作品の方がロメロらしさが出ますね。
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」同様、ゾンビ発生直後を描いた作品ということで、ロメロの原点に戻った印象です。
ある意味「ランド・オブ・ザ・デッド」で行き着くところまで行っちゃいましたから、原点回帰は大賛成です。
ゾンビ三原則を活かしたまま一度振り出しに戻したことで、新たなゾンビ物語を見ることができて嬉しいです。
グロ描写が少ないと書かれている方が多かったため「万人ウケ狙いで残酷描写を控えたのか」と思っていましたが、見てみれば血や内臓の量こそ少ないものの、ゾンビを倒す方法に趣向を凝らして頑張ってます。
描写が過剰な近年のホラーとしては控えめですが、ストーリー上、必要充分だと思います。
オリジナル版「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」と比べれば遥かにグロいですし。
欲を言えば、CGではなく特殊メイクのみでやって欲しかったですが。
この作品、手持ちカメラによる主観映像が売りですが、主観ならではの臨場感が希薄です。
映像のブレが少なく、あまりにもきれいで見やすい。
異常事態の中であんなに落ち着いた映像が撮れるとは思えません。
多少映像が見難くなってももっと雑に激しく撮った方が効果的だったと思います。
この作品一番の特徴であるこの部分が失敗している事が最大のマイナスポイントだと感じました。
とはいえ、真っ暗な通路の中を進んでいくシーンなどでは三人称視点よりも遥かに怖かったりもするのですが。
あとロメロ印のゾンビ映画でお約束の社会問題の提起ですが、今回はネット上に氾濫する情報。
誰もが情報を発信できる現代に対して警鐘を鳴らしているようです。
ナレーションで説明してくれているので言いたい事は分かりますが、その危険性が直接物語に影響してこないので取って付けたような印象です。
メッセージ性があってこそのロメロゾンビだと思うので、もっとガツンと訴えてきて欲しいです。
というように突っ込みどころが全く無い訳ではありませんし、「ゾンビ」や「死霊のえじき」ほどのパワーも感じません。採点も星3つです。
とはいえ、これだけ楽しめるなら早く見ておけばよかった。というのが本音でもあります。
今回はレンタルで見たのですが、改めて購入しようと思っています。
鑑賞する前の心構えとしては「あのジョージ・A・ロメロだぜ〜」と期待しすぎず、力を抜いて臨んだ方が楽しめると思います!