ミドル・エリートの夫から突然の浮気告白、突然の離婚に翻弄されつつも
子供たちと手探りで新たな生活を模索するエリカ。
やがてある画家と知り合うのだが、、、。

　離婚により、ヒロインの中で再構築されていく結婚・恋愛観をとおして
結婚やセックスの意味、そして女性の自立について問いかけていく。

　エンディングにおいても、あえて結論めいたものを押し付けないマザースキー監督の
語り口の巧みさがこの映画でも生かされている。
腕をいっぱいに拡げ、プレゼントされた大きなキャンバスを抱えて歩くヒロインの姿は
風に煽られつつもヨロヨロと帆走し始めたヨットの帆のよう、
果して画家との恋愛はどんな形で成就するのか、あるいはしないのか、、、。

今から２０年以上前の学生時代、関西ローカル放送局Ｋ○Ｓ京都の山城信吾の映画紹介番組でこの映画を見て、
その後数回程テレビで見る機会がありましたが、今でも鮮明に印象に残り続けている映画です。
待望の販売です！

主人公エリカは普通にサラリーマンの夫と何不自由なく生活し、ティーンエイジャーの娘もいて幸せな生活を送りますが。
ある日突然、夫から実はかなり年下の教員と不倫をしており、彼女と一緒になる為に離婚して欲しい。と身勝手な離婚を切り出され、

悩み、苦悩し、セラピーを受け、一時期ほどではないにせよ、
当時のウーマンリブ旋風が未だ下火ではなかったアメリカの社会と女性の関係性が分かる描き方をベースに、娘とのやり取りや
主人公が刹那的に様々な男性との遍歴を重ねる部分が見物で、７０年代後半のアメリカの雰囲気と街並みや、女性の生き方・悩み方がとてもうまく描けています。

最終的には、画家（７０年代後半〜８０年代前半に流行った様な画風の絵が見物）と知り合い、深い仲になるのですが、
どうも今一つ気が進まない。
そうこうしているうちに、元夫が情けない姿で主人公エリカの前に姿を見せ元不倫相手の悪口を言います。
「彼女は思ったより幼いんだ！もう一度寄りを戻そう！！」と。
そして彼女の選択は？　　色んな意味でお勧めです。この頃のアメリカってまだ良かったよね？

これは本当に嬉しいＤＶＤ化です。
ジル・クレイバーグはこの作品を観て大好きになった女優です。
女性の自立というテーマを映画としても非常に面白く仕上げた傑作と思っています。
是非多くの方に観てもらいたい作品です。
女性映画つながりでダイアン・キートン主演で若きリチャード・ギアなども出演している「ミスター・グッドバーを探して」なども是非ＤＶＤ化して欲しい作品です。

自立する女性を描いた７０年代後半の一連の“女性映画”で、その最高峰と言われるのが本作。驚くべきことに３０年を経て漸く、日本では初ソフト化となります。約２年前に米国ではＦＯＸからポール・マザースキー監督の一連の傑作群（「ハリーとトント」「グリニッチ・ビレッジの青春」）として一斉ＤＶＤ化されており、本マスターはその際のものと思われます。ちなみに米国盤はビスタのスクイーズでタイトルバック以外は比較的丁寧なテレシネ、音響はドルビーサラウンド化されています。役者でもあるマザースキーの資質なのでしょう、本来なら深刻な家庭崩壊の内容なのに、見終わると異性であってもなぜか元気が出てしまう不思議な力を持つ映画です。ビル・コンティ作曲のテーマ曲も秀逸。惜しむらくは値段の高さ。米国発売からだいぶ経っているだから版権料は安いはず。もっと安くしていいのじゃないか。打蛇足ですが「グリニッチ」の国内発売も強く望みます。