新鋭トッド・ソロンズ監督による愛と笑いと風刺がたっぷりの群像劇。アメリカのニュージャージーで育った三人姉妹。今は家庭をもったり、仕事をしていたりとそれぞれの道を歩んでいる。彼女たちとそれを取り巻く人々のさまざまな思いと日々。
登場人物はかなり風変わりで問題を抱えた人間ばかりだ。セックスレス、少年愛、レイプ願望など、性に関する屈折したテーマもこの映画の一要素になっている。欲望を満たそうとする露骨な表現も出てくるが、人間の不器用さを交え、どこかユーモラスである。辛辣だが温かい視線で登場人物を描き、毒も多いがやさしさにも満ちた独特な感覚の作品。
タイトルの『ハピネス』とは、きれいごとだけではない、いろいろな苦悩や醜悪さ、猥雑さも呑み込んで人間の幸せはあるということだろう。(星乃つづり)
切ない……
★★★★★
ホ・ジノ監督の作品は全部観ています。
アジアで一番好きな監督です。
作品を重ねる毎にその内容は深くなって来ているのではないでしょうか?
この作品も今まで通り、美しい映像だけで物語は語られて行き、淡々とした展開の後、見終わって深い余韻に包みこまれます。
とにかく切ない。
近頃、これほど切ない恋愛映画にはお目にかかった事はありません。
ラスト、雪の中、再び療養所へ向かうヨンスの姿が心に刻み込まれます。
この作品でも監督は、自分のスタイルを決して崩さず、更に深化させていると思います。
凄い作品です!
★★★★★
韓国映画にしたら佳作に位置する作品なのかもしれませんが、日本映画でこの作品に比肩し得るだけの映画がはたしつ何本あるんだろうって思わず考え込んじゃいました。 コマーシャリズムに流されない事、お涙頂戴、通俗に堕しないこと、自分達のいいと思った事、正しいと思った物を時流におもねる事なく最後まで貫き通す強い意志、信念、それを行う為のたゆまぬ努力。韓国映画の底力を見る思いがした。日本で実質的これを実現出来ているのは宮崎駿くらいしかいないのではないか?雨の中の青空、サイボーグでも大丈夫に続き病人役のイムスジョンがとにかく素晴らしい。
それでも、彼女はきっと幸せだった
★★★★★
ホ・ジノ監督らしく、説明的な台詞は徹底的に省かれていて、
登場人物の行動から観客自身が彼らの感情を想像する作品です。
だからこそ、かえって観る側の思い入れは深くなります。
同じ男性として、主人公の男性の無責任な行動には腹が立ちましたが、
二人が最後に会うシーンで、女性が本当に嬉しそうに涙を流すのを見て、
それでもこの女性は彼に出会って幸せだったのだと感じました。
たとえどんなに不完全でも、愛する男性に出会ったことで、
きっと彼女の人生は輝いたのでしょう。
切ないけれど、とても深い余韻の残る佳作です。
流石にホ・ジノ監督作品ですね
★★★★★
原題は“幸福(ヘンボッ)”といい,たしか衛星劇場の“情熱のコリアンムービーシアター”で放送されたと思います。
ハン・ソッキュ主演の「八月のクリスマス」,イ・ヨンエとユ・ジテ主演の「春の日は過ぎゆく」,ペ・ヨンジュン主演の「四月の雪」など,叙情豊かな美しい映像でラブストーリーを撮ってきたホ・ジノ監督作品ですから期待できますよ〜。
お話しは,都会の生活に疲れ,肝硬変を患った男ヨンス(ファン・ジョンミン)と,田舎の療養所で暮らす病弱な女ウニ(イム・スジョン)との出会いを通して,本当の幸せとは何かを問いかけるという流れなのですが,単なる韓流お得意の難病がらみのメロドラマではありません。
そうしなかったところが監督の力量だと思うのですが,病気だからとか,これでもか〜というような,泣きの押し付けは一切なく,それでいて,自然と感動してしまう,そんな作品です。
田舎と都会,健康と病気,そういう対比も良かったですし,ラブストーリーの表現も微笑ましくって胸キュンでした。それに映像も綺麗です。
その後はお決まりのように悲劇も起きますが,悲しい中にもお互いを通して幸せを見つけたんじゃないかなと思わせてくれる演出になっています。
女性の目から見れば,“ヨンスのバカ〜”のように見えるかもしれませんが,愛に揺れる男の本音の繊細さをファン・ジョンミンがきっちり演じていたと思います。
キャッチコピーのような号泣はありませんが,ジワッと効いてきますよ。
おまけ:ヨンスとウニが見に行った映画は「奇跡の夏」という作品ですが,これがまたお兄ちゃんが脳腫瘍で,弟と家族の心の動きを描写した感動作です。弟のハニを演じたパク・チビン君は10歳という史上最年少でニュー・モントリオール国際映画祭の主演男優賞を受賞したという話題作ですので是非こちらもご覧ください。