本書は、まえがきで書いてあるように、大学の言語学の講義用のテキスト
として３人の著者により書かれたものである。
全部で26の章からなっており、言語学の対象や類型、諸分野にふれた後、
音声学、音韻論、形態論、統語論、意味論、語用論、社会言語学と幅広い
分野を簡潔にまとめ上げて書いている。


重要な用語は太字で示してあり、簡潔ながらも、言語学のエッセンスとなる
要素はしっかりと盛り込んでおり、言語学学習の最初の一冊として重宝する
本である。また、各章の終わりには問題がついていて、その解答は本書最後に
示しているところも嬉しい。簡潔にして要を得た言語学入門書である。

はじめに書かれてとおり大学の教科書として使用することを前提としたものです。
講義で具体的に話をするせいか具体例などはあまりかかれていません。

学問として言語学を勉強しようという人のための入門であって、趣味的に言語学の
知識を得たい人がはじめて読むものとしては、やや難しく感じるものだと思います。

この書籍は全26講で構成されており、最初にキーワードを挙げて説明するという手法を用いているため分かり易いのが特徴。
内容は、言語特性、言語学の対象、言語の類型、言語学の諸分野、音声学（音声器官・母音と子音・音声学と音声論・超文節素）、
形態論（語彙素と形態素・形態素と異形態・語形成・語彙と文法範疇）、統語構造、句構造文法と異形態、生成文法、統語事象、
意味論（意味の意味・語の意味・比喩と連語・文の意味）、語用論（発話の意味・場面と言語表現）、言語と社会（言語変種）、言語の変化、世界の中の言語。

上記で挙げた用語のいくつかが分からなくても、この書籍なら大丈夫だと思う。
むしろ、これらの用語が分からないという方に読んでいただきたいのがこの『言語学入門』である。
言語学にはさまざまな分野があるが、この書籍は初歩的な概要を分かりやすく説明している。
これから言語学を学ぼうという大学生の方や「ことば」に関心を持っている方にもおすすめする。
ただし、この書籍には比較言語学や応用言語学の分野には触れていない。
その分野に興味をもっている方は他の書籍を購入された方が良いだろう。

言語学の入門書になるだけでなく、すでに言語学を学んだ人にとっても復習のための良書といえる。
また英語を中心に言語学を学んだ人にとっては日本語を中心とした内容なので日本語を介して言語学のおもしろさを再発見できたり、日本語という母語を再考することもできるだろう。

ただし、まったく言語学に触れたことのない人が独学するのには少し難しいかもしれない。予め基礎知識がなければ理解に苦しむと思われる記述が何箇所かあり、また、練習問題も解答は一つ出ないものも多いのでやはり大学の言語学入門の授業のための本といえるかもしれない。

しかし、全体的には読みやすく、読者のわかりやすいように書いている筆者の配慮が随所に見られとても良い本といえるだろう。

大学院の準備として購入し、２、３回読みましたが、とても分かりやすく良かったです。
構成は、言語学全般の基礎知識、語用論、音声学・音韻論、統語論、意味論が中心になっていますが、他にも社会言語学の基礎にも触れており、ツブシがきく本といえます。

もともと、本書は大学の講義用に編まれたようですが、独習にも配慮してあり、文体もです・ます調を用いていて、分かりやすくなっています。

また、発展的学習のために、各レッスンに練習問題と解答・解説が載せられており、さらに勉強したい人のための参考文献も充実しています。