愛媛のひと
★★★★☆
初出は1978年の『週間朝日』。
14巻に収められているのは「南伊予・西土佐の道」の1編のみ。
愛媛県西部の宇和島を中心に取り上げている。宇和島藩の歴史を通観する形で、宇和島人の魅力が明らかにされる。司馬は宇和島が好きだったようである。旅をしながら多くの宇和島の人と知り合い、彼らの魅力にひきこまれた。そして、この人たちの気風の原点を探そうとして書かれたのが本書なのである。宇和島の歴史には多くの偉人があらわれる。偉人といっても全国に名の知れた人物はおらず、地元の福利や発展のために力を尽くした者ばかりである。司馬はそれらの偉人たちを取り上げつつ、宇和島の風土に思いを馳せる。
なかなか読み応えのある一冊。