地元を歩く
★★★☆☆
初出は1972年の『週間朝日』。
「陸奥のみち」、「肥薩のみち」、「河内みち」の3つが収録されている。
「河内みち」は司馬の地元を歩いているにもかかわらず、あまり面白くなかった。高貴寺、弘川寺など自宅に近いところを訪れるのだが、近すぎて書きにくかったのかも知れない。京都、奈良、大阪という3都に挟まれた地域であるのも司馬の筆を鈍らせた原因かも知れない。歴史における地域の特徴のようなものがつかみにくかったのだと思う。
「陸奥のみち」と「肥薩のみち」が圧倒的な地方性を持っているだけに、河内の弱々しさが目立つ一冊。