鉄をつくる
★★★☆☆
初出は1973-75年の『週間朝日』。
7巻には「甲賀と伊賀のみち」、「大和・壺坂みち」、「明石海峡と淡路みち」、「砂鉄のみち」の4編が収められている。
昔は「大和・壺坂みちほか」というタイトルで出ていたが、最近は「砂鉄のみち」が強調される傾向にあるようだ。確かに、本書の中心となっているのは中国山地のたたら場を巡った「砂鉄のみち」の話。
鉄をつくるには燃料としての木材が大量に必要だ。ひとつのたたら場が1シーズン操業すると、2〜3個の山が丸裸になったという。にもかかわらず、中国山地の山々は青々としている。この秘密に迫ったのが「砂鉄のみち」なのである。人類の生活に必要不可欠な鉄。その生産の現場を訪ねた本書は他の巻とはちょっと違った迫力がある。