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第四の手

価格: ¥2,310
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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 『ガープの世界』でその名を世に知らしめて以来、数々の人気小説を生み出しているジョン・アーヴィングが2001年に発表した作品の邦訳。長編10作目にあたる。

   物語は突拍子もなく幕を開ける。報道番組のレポーターであるパトリックは、取材中に起きたある事件―― なんと数十秒の間に左手を丸ごと失ってしまうのだ―― から一躍有名人に。しかも、その瞬間はカメラに見事収められ、一部始終が放送される。

   テンポのよいストーリー展開で、まるで映画を見ているかのような映像が頭に浮かんでくる。手の移植の第一人者といわれる医者(しかし過去1度しか経験がない)、フンが大好物の犬を飼っているその息子、事故で死んだ夫をパトリックの左手のドナーにと夫が死ぬ前から考える妻など、パトリックの左手の移植を巡って登場するキャラクターたちも魅力だ。また、パトリックの行動を通して、他人の不幸をネタにするテレビ報道の体制を皮肉たっぷりに描いているところも嫌みなく楽しめる。

   そして何よりも、下半身にだらしなく、欲情のままに生きてきたダメ人間パトリックが、左手を失ったことをきっかけに、次第に愛や信頼に重きを置くようになる様に心が温まる。意中の女性に愛を告白するも、正直になりすぎて一歩退かれるなど、魔がさした人間の過ちを滑稽に描写するジョン・アーヴィングのテクニックも見事である。(松本芹香)

ダメ男再生のお話 ★★★★☆
イケメンであるが故に女性関係で身を持ち崩している三流ニュース局のジャーナリストが、取材中にライオンに噛まれて左手を失う。これが「第一の手」。そこから紆余曲折を経て、幸せの象徴=「第四の手」を得るまでのお話。従来作品と比較するとストーリー展開はやや平板で物足りないですが、そこここにアーヴィングらしいエッセンスは散りばめられているので、やはりファンは必読かと思います。
ラブストーリー ★★★★☆
アーヴィングを読むきっかけになった本。
主人公の彼はとても憎めない、いい男。駄目人間だけれど、でもやっぱりいい男。バカだけど、でもやっぱり憎めない。
震えるような衝撃は無いけれど、くせのある材料をかりっと揚げて、意外に軽い口当たりに持っていった、魅力的なラブストーリー。大小様々なラブとユーモアが散りばめられていて、うまい言い回しがたくさんある面白い本だと思う。
作家も変貌するんだなぁ ★★☆☆☆
アーヴィングの小説で一番好きなのは「ホテルニューハンプシャー」
「熊を放つ」も捨てがたいが「ガープの世界」で受けた衝撃も忘れがたい
よくよく映画化される作家であるが
その映画化にあたり「サイダーハウスルール」に登場した時に違和感があった
この人なんか丸くなってないか?
剥き出しの精神が抜け落ちたような(瞳が放つ鋭い光が消えた感じ)

この作品を読んだ時しみじみ作風が変わってきたのを痛感
人生で逆境を経験してこなかった主人公が一人前になるまでで
左手を失うこと、初めて女を本気で好きになること
混迷の中から光りを掴むアーヴィングのこれまでの登場人物と違い
混迷の中から光りを待つ主人公になった
アーヴィングなくしては描けない世界がこの世界には欠けているようで

期待してた分失望が大きいです

淡褐色の活動写真のような物語 ★★★★☆
 いい小説かどうかは、終わりが来てほしくない、読み終えたくない、と思えるかどうか、ということだ。
 この「第四の手」は、終わりなく、読み続けたい小説だ。
  大人の男が本当の大人になるまでの遍歴、諦淡と活写されたラブ・コメディ、家族の再生の物語、と如何様にも読める。そのようなテーマを探すよりも、アーヴィングの達者な語りに耳を傾けるのがいい。私は、読んでいる間中、カタカタと鳴る古い淡褐色の8ミリフィルの映像を見ているような気になったものだ。なんだか、懐かしくも新しい物語なのである。

 「ホテルニューハンプシャー」から少しご無沙汰してしまっていたら、アーヴィングのスタイルは変わってしまったのだろうか。「開いた窓はやり過ごせ」とかの警句がなかったのち?少し寂しい。

おだやかな、おもいやり ★★★★☆
傷ついても傷ついても、立ち上がり、前を向いて歩いていれば、いつかご褒美がふってくる。かなり気分が凹んでいたせいもあったけれども、読み終わった瞬間、そう強く信じたくなった。

 日常生活の中にちりばめられたありきたりで穏やかな思いやり。ささやかで大切なのだが、絶好調のときは見過ごしてしまい、失ってみてはじめて切望するようなこと。それらに徹底的にフォーカスした作品だったように思う。
 これほど静かな気持ちで読みとおせたアーヴィング作品は、他にないという意味で、The Fourth Handはやや異質だ。気に入った人も気に入らなかった人も、この作品のみでアーヴィングを評価するのはやや早計かな、と思う。

 終わりのほうのシーンはとてもあたたかくて、しわしわになった心を、やさしく撫でられるような心地よさを感じた。