いのちの大切さは、「教える」のではなくて「伝える」のだということがわかった
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先日、
家で飼っていたメダカが一匹死んだので、
木の根元まで埋めにいった。
うちの子はまだ2歳なので、
その意味を理解することはできないのかもしれないけど。
いのちの大切さを伝えられる大人に、
なりたいと思った。
自分自身を見つめなおすきっかけになる、
感動的な本だと思った。
生命と関わった経験をどのように意味づけるか。
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いわゆる「いのちの教育」「死の教育」がテーマの本。
一応、カウンセラーとしての立場から書かれているが、
筆者の見解はむしろ幼少期のいじめ体験に裏付けられている。
本書の特徴は、
サブタイトルが端的に示すように、
「いのちの体験」をどのように共有するか、ということ。
そして、本書の中では
ただやみくもに道徳教育を推進するではなく、
生命の誕生を喜ぶ、消滅を悲しむ、といった体験を
周囲の人と共有する、ということが大切にされている。
「死んだ金魚をトイレに流すな」とあるように、
生命の消失を「モノ」扱いする形では共有すべきでないとしている。
(ちなみにこの事例は、日本よりもカナダでよくあるらしい)
つまり、共有すべき「いのちの体験」の本質は、
生命に触れることそのものよりも、
生命と関わった経験をどのように意味づけるか、にあるといえる。
「自尊感情」や「死の概念についての発達段階」など、
専門用語もそれなりに登場するが、
この本のもっとも秀逸な点は、
日常場面での生命との関わり方を
「飼っていた金魚が死んだとき、どうしていますか」
という一言で明らかにしていることにあるだろう。
その点、非常にとっつきやすくわかりやすい一冊である。
個人的には、高校生くらいでも読める良書ではないかと思う。
「自分のいのちのたいせつさ」を伝えるために―
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本書は、長年スクールカウンセラーを務めた著者が
自らの経験と知見に基づき、
子どもに命の大切さを教えることの必要性と
そのための方法を紹介する著作です。
内容よりもなによりも、タイトルにもある
死んだ金魚をトイレに流すという話が
かなりのショックだったのですが、それはさておき
私自身は、いまのところ子育ての予定がないので
あくまで他人事・一般論として、本書を読んだのですが、
子どもにいのちの大切さを伝えることの必要性と大変さが、
ヒシヒシと伝わりました。
たしかに、本書の記述は
死生観や内面の核に関する事項に及んでいるので、
見解を異にする記述は多々あります。
また、本書の書いているとおりに
子育てをしなくてはいけないというわけではないし、
家庭や子どもに応じた対応が必要になるので、
あくまでも一つの参考事例に過ぎないでしょう。
しかし、そうした点を認識した上でも
どうやって子どもに命の大切さを伝えるか?
という問いと真摯に向かい合い
それを実践してきた筆者の姿には、深い敬意を抱きます。
深刻なテーマを扱っているものの
平易な文章で、さらっと読めてしまう本書
どなたにも読んでいただきたいのですが、
なかでも、子どもと接する方やこれから接する予定の方には
ぜひとも、参考にしていただければ―と思います。
子どもと命について考えてみる
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いじめによる自殺や無差別連続殺人など、
いのちを軽視する事件は後を絶たないとききます。
とはいえ、では実際どのように子供たちに接していけばいいのか、
その具体的な指針はよくわからないところです。
著者は、「きみが大切だ」と語りかけることが必要だといいます。
自分の命の大切さを感じられない人に人の命の大切さはわからないということです。
そして、子どもが体験する悲しみや苦しみ、不安や絶望といった
「いのちの体験」を いっしょに共有することが大切だといいます。
著者の論理は明快で非常にわかりやすいです。
“自尊心”と“自己中心的”の違いも慎重に語られています。
矛盾を感じることなくすんなりと受け止められました。
エピソードも豊富で、語り口もやわらかく、楽に読むことができると思います。
子を持つ親御さんはもちろん、いのちの教育に関心のあるすべての人に
広くおすすめしたい一冊です。