「羽生善治の終盤術」シリーズの掉尾を飾る良書
★★★★☆
終盤戦で、美濃囲い、穴熊、矢倉をどう崩したら良いかについて書かれた本。これまでの「羽生善治の終盤術」シリーズと同様、すべて羽生善治氏の実戦譜に例が取られています。過去の2冊に比べるとやや易しい印象を受けました。いずれにせよ「羽生善治の終盤術」シリーズの掉尾を飾るにふさわしい良書であり、過去の2冊が良かったと思われた方にはお奨めです。
特に居飛車党の目から見ると、羽生三冠と一緒に攻める感覚をすべてのページにわたって楽しめます。一方、振り飛車党の目から見ると、非常に勉強にはなりますが、美濃囲い、穴熊の箇所は羽生三冠に攻められる感じで、守っている側の感覚になります(但し、穴熊崩しの一部は対居飛車穴熊なので、これは羽生三冠と一緒に攻めている感覚が味わえる)。色々守っても、羽生三冠に攻められるとひとたまりもないという感じです。
終盤の大局観を養う本
★★★★☆
羽生善治の終盤術の3巻目。今回は美濃、穴熊、矢倉の3つの囲いをどのように崩していくのか、という内容。この本に通じて流れているコンセプトは「基本の手筋をいかに実戦で生かしていくのか」ということにあると思う。例えば後手振り飛車の場合、美濃囲いの5二の地点には普通は「金」がいる。しかしながら実戦では銀の場合もあるだろうし、矢倉にしても金銀3枚でがっちり囲っていない場合もある。そうした、「微妙に異なる実戦」で、これまで学んだ手筋を「どのように応用するのか」「これまでの手筋がそもそも応用できる局面なのか」ということが身についてくる。上記の事柄は当然プロ棋士でも難しいことのようだが、「感覚的なこと」については理解できると思う。(というのが筆者の考えのようだ)
ちなみに私の棋力は初段なので、これから二段、三段を目指したい人、あるいは初段前後で終盤に自信がない人はすごく参考になると思う。