誇り
★★★★☆
映画『硫黄島からの手紙』を見て
そのあまりの出来の酷さに閉口し
少しでも事実に近いものを学びたい
と思い読んだ本の内の一冊。
基本的に閣下から家族に宛てた手紙で構成され
(それ故著者が閣下自身ということになっている)
後半で解説として硫黄島の戦いについて等が書かれている。
非常にわかりやすい構成であり内容であると思う。
如何に硫黄島が重要であったか
たとえ玉砕しようとも守り抜きたい理由
閣下を初めとする兵士の覚悟
敗色濃厚の中で自らの死を覚悟し
母子家庭になることを詫び
国からの手当について調べるようにと
手紙に書き残す冷静さや愛情
また、長男に対しては息子というよりも
男として扱っているところに感動を覚えた。
戦後日本は負け犬根性で誇りを失ってしまったが
戦争から学ぶことは
悲惨である、繰り返すべきではない
という『当たり前』のことだけではなく
誇り高く生きた閣下のような人々
そんな人を尊敬していた人々が
どのようにして、どんな思いで
命を投げ出してでも国土を、愛する人を守ろうとしてくれたか
というその尊い志こそを学ぶべきだと思う。
英雄を設定することは正しいことなのか。
★★★★★
イーストウッドが、硫黄島戦を日米それぞれの視点で描いた映画を2作品作った。前者についての種本が不明だが、本人が死亡している以上、種は、彼が書き送った手紙であろう。それと硫黄との戦いに関する資料。散るぞ悲しきは、良く読まれているものの、勝手に栗林の人物像を英雄化し、美化する記述を付加している。死者の意思を尊重していない。映画の通低には同じものが流れている。英雄などいない、英雄としてはならない、というメッセージであり、だからこそ、戦闘の真実の描写に踏み込み、残虐凄惨な描写を描いた。旗を立てた海兵隊員も、栗林も、ただマスコミにより大きく取り上げられたのみであり、英雄などはいなく、英雄と呼びたければ、それはここで戦った日米の全ての者である。下級将兵には、栗林のような手紙を出すことは、機密上許されていなかったことも付言しておく。本書は中立であり、死者への敬意をちゃんとしており、栗林については、この本を読めば十分である。硫黄島の戦いの本は、腐るほどあるので読みきれない。
散りゆく人たちの想いは切ない。。。
★★★★★
洋画「硫黄島からの手紙」の元となった本です。硫黄島守備隊の司令官として赴任した栗林中将の半年あまりの間の家族への手紙が収録されています。手紙ということで、故意に行間を広くとっているのでしょう、短時間で読み終えることができる字数です。ですが自分の運命を知るが故に残された家族にはできる限り安全に健康にそして長生きして欲しいという、当時としては口外できないような愛情ある言葉が素直に手紙という形で家族に伝えられています。(従って手紙には他言無用という添え書きが記されます)そして時折家族から栗林さんあてに届く手紙にも精一杯の心遣いが感じられます。
この本を読んだ後もう一度映画を見ると、劇中で朗読される手紙の意味がよく解り(例えば「たこちゃん」の意味とか)切なくなります。家族への手紙では心配をかけまいとして常に被害は軽微と伝えています。が、実際はもちろんそうではありません。アメリカ軍の攻撃の激烈さは「十七歳の硫黄島」を読むと詳細に分かります。そちらもお薦めです。
遺書として戦地から書き送られた41通の手紙
★★★★★
太平洋戦争の激戦地、硫黄島(いおうとう)から、司令官の栗林忠道中寿が日本の妻と息子、娘にあてて書いた手紙、全41通を収録した本。半藤一利氏による、硫黄島の戦いの解説つき。
映画『硫黄島からの手紙』を見て、栗林中将がどんな手紙を書き送っていたのかを知りたくなり、購読しました。映画の中にも、一部手紙の文面が紹介されていますが、戦地でも妻や息子、娘のことを思っていろいろ気遣っていた、普通の夫であり父親である軍人の姿に心を打たれます。
映画と題名が同じですが、こちらの方は奥付に「いおうとう」とふりがなが振ってありました。
アメリカ軍が恐れをなした名将は優しいお父さんだった。
★★★★★
映画「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」に関連した一冊です。アメリカ軍事史上最大の激戦地となった「硫黄島」の日本側最高指揮官栗林忠道第109師団長兼小笠原兵団長、陸軍中将(3月17日、陸軍大将昇進、3月26日戦死)は、最も優れた指揮官であった。この人が軍中央にいたら、太平洋戦争が起こらなかったかもっしれない。アメリカ軍が恐れた名将は、家庭では、子煩悩で優しい父親だった。硫黄島に着任してから家族への手紙41通をまとめた1冊です。読んでいて家族への思い遣りや子供たちへの愛情溢れる手紙は涙を誘い、栗林忠道師団長の暖かい人間性が偲ばれます。