子役から歩みはじめた俳優の道。その途上には、日本映画界の黄金時代が横たわっていた。当時の彼女の生き様もさることながら、活動屋たちの様々なエピソードが興味津々で面白すぎるのだ。

女優・高峰秀子の自伝的エッセイとして名高い名作。
映画ファンなら興味津々の事ばかり。これぞ映画本だ。

大好きな女優さんです。作家さんでもありますね。激動の人生を歩まれて、いやもうとにかくすごい！読んで！です。子役時代のエピソードなど戦前の華やかな東京や映画産業をいろいろ楽しくまた厳しく書かれています。映画好きにもたまらない本です。ちょこちょこ載っている写真なんかハイカラって感じで最高だし、この方の独自の考えかたとか物言いなんかちょっと江戸ッ子のようでまさに、お江戸も明治も大正も続いた時間の流れなんだなぁと感じさせられました。名だたる文豪に愛された女優さんです。有名どころでは、谷崎潤一郎先生などなど、表紙の絵は、なんと梅原龍三郎先生の書かれた高峰秀子像。上、下、巻です。

女優・高峰秀子の半生を綴った自叙エッセイ。『浮雲』『稲妻』（成瀬巳喜男）／『二十四の瞳』『喜びも悲しみも幾歳月』（木下恵介）などの代表作をはじめ、たくさんの作品で見事な演技を見せる高峰秀子こと「デコちゃん」。５歳からはじまった映画女優の人生、しかも日本を代表する女優、さらに日本映画界の黄金時代を生きた女優の人生が面白くないわけがない！複雑な家庭環境から青年時代の黒澤明との初恋などが鮮やかにユーモアを交えて描かれています。ほんとに無駄のない筆の運び。幼い頃のデコ嬢の笑顔（プロマイド写真）の裏には大人を鋭く見つめる批評性があったんだと覗わせられます。原節子サンと手をつないたり、セーラー服を着ていたり、少女時代の代表作『綴方教室』『馬』の写真は眩しく美しく可愛らしい。