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「医療費抑制の時代」を超えて―イギリスの医療・福祉改革

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 医学書院
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医療崩壊のモデルケース ★★★★☆
 イギリス医療の研究にどのような意味があるのかと思って読んだのが4年前であったが、現在の医療崩壊を語るうえで欠かせない一冊であると最近気付いて読み直した。
 イギリス医療の崩壊現象を詳細に解説しており、その要因分析はいよいよ正念場を迎えている日本の医療を考えるうえで極めて重要な視点を与えてくれる。
 イギリスの公的医療サービスはイギリスの新自由主義政策(サッチャリズム)により、医療費抑制を受け、極めて甚大なクオリティとアクセスの低下を見た。医師の国外流出、極めて長い待ち時間などなどの実情が紹介される。
 ブレア政権下での医療費増大政策をへて、本書の結論は1度崩壊した医療はなかなかもとの水準に戻らない。ということである。
 これから本格化するであろう、日本の医療崩壊を前にして、是非読んでおきたい一冊である。
尾張に上医あり?! ★★☆☆☆
イギリス医療の失敗の顛末をうまくまとめたレポーとである。

ただ、「あとがき」に書かれた著者のスタンスがちょっと気になった。
「(前略)「上医は国を医し,中医は人を医し,下医は病を医す」という中国の格言を医学生時代に知った.(中略)しかし,第一線医療の現場は,確かに忙しく,「下医」として一人前になるのも大変であった.本をゆっくり読む時間がないのに,現場で使えるマニュアルがなかった.「なければ自分たちでつくればよい」と考える仲間に恵まれ,あるべき姿と現実の間のギャップを埋めようとしたのが,マニュアル3部作であった.(中略)疾患だけではなく要介護者のQOL向上を目指す,いわば「中医」でありたい.それがリハビリテーション医学を専門とした理由である.(中略)現時点では少数意見かも知れないが,効率に配慮しつつ公的医療費を拡大する医療政策へと転換すべきである.そのための実証的な根拠や方法を示す研究者も「上医」の1つの姿であろう.その一端を担いたい.それが,臨床医から研究者への転身に至る私のもう一つの思いであった.」近藤氏の足跡をきれいにまとめたともいえる独白であるが、自らを上医と言い切るところなんざ、さすがである。場末の下医の小生にはまねのできない発言である。

これからはせいぜい国を医してほしいが、病を医し人を医す志も忘れないでほしい。
医療政策に興味があるのなら、持っていて良い一冊。 ★★★★☆
医療を社会保障の一部として国が面倒見るのか、それとも経済原理に任せるのかという選択肢の存在を認識している人は多い。本書は、社会保障医療として医療費(公的負担)総額を抑え込んだイギリス医療が崩壊した原因と今日の医療再生途上の有様を分析している。

立ち読みで済ますには濃い内容と多い情報量。

医療政策の素人にはやや難解。