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進学格差―深刻化する教育費負担 (ちくま新書)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 筑摩書房
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教育費、の問題。 ★★★★☆
大学全入時代(=入学生を受け入れる枠が増えた)と言われる今日、
「希望さえすれば誰でも」大学進学を果たすことができるのか?
はてさて、「能力に応じた教育均等の機会」は設けられているのか?
というところに興味がある方は是非読んでほしいと感じる。

「”大学全入時代”という言葉は、そういった問題を覆い隠してしまっている」
といったところから本題に入っていく。

学力の問題だけでは解決できない。
日本では多額の「教育費」がかかる。
正直、偏差値が飛び抜けていても、大学入試に合格しようとも、能力があろうとも、
「教育費」が用意できなければどうしようもない。
入学してからも、教育費はかかり続ける。
「奨学金制度」も貸与型がほとんどであるので、
卒業後も(学資ローン同様)長年の支払いが必要となる。


「答えが見つかる」「(読後)すっきりした」という類の本ではない。
所得階層別の学力や進学に関するデータや
各国の大学教育の現状などを踏まえ、
進学格差問題について俯瞰し、考察するための手がかりになる良書であると思う。
絶望感だけ投げ出されても・・・ ★★★☆☆
誰もがなんとなくは感じている、大学進学にあたっての、
特に保護者の年収を主とした経済的格差を
様々な調査により数字で明らかにしてくれる一冊。

しかし昨今の厳しい経済/財政状況により
官からも民からも今後の高等教育に対し、
我が国には有効な経済的支援方法が無い、
ということも明らかにしてしまっている。

そして筆者は残念ながら、その状況を踏まえた上で
今後どうしていこうか?という前向きな議論を
(寄付に基づく大学独自奨学金の充実、という提案はあるが)
殆ど展開してくれていない。

もちろんそういう本ではないと言ってしまえばそれまでだが
絶望感だけ投げ出されても・・・
現実は把握できた。が、その先は? ★★★☆☆
 親の収入が多ければ、子の最終学歴も高くなる(乱暴に書けばそれだけ多くの
お金を教育費に割ける)ことは、既に他の本でも明らかにされていますが、本書
は高校生とその親に対し2005年の本調査と、翌年の追跡調査(サンプル4,000人
親の調査は05年のみ)によって、冒頭に記した主題を細かに分析しています。

 やはり親の収入(本書では家計負担力としている。収入が多くても子が1人と
2人では、国立なのか私立なのか、家から通うのか別に部屋を借りるのか、そして
子の歳の差(年子なのか、4・5年の間があるのかで家計の資金繰りは異なる)
教育費に回せる総予算は変わる為)等と、子の最終学歴には相関が認められます。

 では、そういった現実に対してどういう処方箋があるのか?という問いに
対し、著者は奨学金(それも貸付では無く、無償援助に。但し、世界の趨勢は
貸付。中でも日本は最右翼に位置すると)に活路を求めています。

 親の収入が子の可能性を狭める、つまり階層の固定化を招く恐れが強い、と
いうことを明らかにしたのはそれだけも成果として十分と言えるでしょう。

 しかし、ではどうするか?のところは、諸外国の例を引くだけで、例えば
どうやってそれを捻出するのか?や、教育を個人の責(受益者負担)にするのか
(北欧諸国の様に)公で支えるのか?と言った点に対する著者の論考が(良し
悪しは別にして)無いのは、ちょっと物足りない感を受けるのです。
これがルポものなら、それでも良いのでしょうが・・・

 その道のプロが著した一冊。読者としては、自分の中で考える為にも、その
材料が欲しいな、と思うのです。

附:著者曰く「大学進学は人生において2番目に高い買い物。でも、教育はその
性格上、やり直しが極めて難しい」は現実を見事に言い表しています。
だからこそ改善が求められるのですが・・・
データは豊富だが、あんまり発見的とは感じられない ★★★☆☆
 あとがきに「本書では、日本の教育の将来のために、考えなければならない重大な問題があるという問題提起だけはできたと思う」(p184)とあるが、その通りの内容だと思う。でも、これはあんまり褒めているのではない。
 日本はこういう状況です、問題は深刻です、それに対してアチラの国ではこういうシステムになっています、でもそこではこういう問題が発生します、コチラの国ではこういう対応をしています、しかしここでもこういう問題点があります……学者の態度として誠実といえば誠実。確かに現状を俯瞰するためには、最低限押さえておかなくてはならない論点が示されているとは思う。しかしやはり、もう一歩踏み込んで欲しかったというのが読後感。
 大体、このあとがきの最初から著者は逃げ腰みたい。自分は奨学金研究をライフワークにしようなんて気持ちはなかった。エライ先生に勧められたからだ。エライ先生方が中心になって進めている調査研究はとっても役に立った。「ただ、私自身の気持ちを言わせていただければ、この貴重なデータの分析は、今後は、若い世代の研究者が進めていってほしい。それは何より本書で強調したように、若い世代にとって、教育費負担は、自分たちの問題になるからだ」(p184)って、そりゃそうかも知れないけどさ……
 ところで私はこの手の本を読んで、気になっていることがある。それは統計における大卒とか高卒とかの括りで、大卒にもイロイロあるでしょ、とか思ってしまう。国公立か私立かとか、金持ちか貧乏人かとかも、統計というものがそういう括りを必要とすることは理解しながらも、「何か顔が見えてこないんだよなァ」と……三浦某の『下流大学が日本を滅ぼす!』ってヒドイ本だけど、ぶっちゃけたところで考えようぜって姿勢はあったよね。
圧倒的なデータ量だが・・・ ★★★★☆
圧倒的な統計データと著者の長年の研究成果を元に、進学と経済の問題について論じている。とりあえず、自分の息子や娘を「大学」まで進学させたい教育熱心な親は読んでおいて損はない。

本書の高評価のポイントはなんといっても、進学と年収との相関関係についての圧倒的なデータ量である。一般論として、学力と親の平均年収には正の相関があると言われるが、それを男女別・年収別に細かく区分するなど大変興味深く参考になる。

東大生の親の平均年収は軽く1000万を超えていると言われるが、本書を読めばその理由が痛いほど分かるはずだ。その他にも、海外における奨学金事情・大学教育事情などを記述し、マクロな視点から日本の進学格差について深く考察することができる。

マイナスポイントとしては、圧倒的なデータ量を用いた統計データばかりで、やや一般読者がきちんと咀嚼するには時間がかかる印象を受けた。「新書」なのだから、論文風ではなく、学生や親へのインタビュー記事を多くとりいれるなどの工夫をして欲しかった。これは、「ちくま新書」全般に言えることであり、全体的にお堅い印象を受ける。ぜひ、改善して欲しいところである。まあ、著者が東京大学の教授なのだから堅い文章になることは想定の範囲内のことではあるが。

【学力と経済格差に興味をもった方に読んでもらいたい参考図書】

学歴ロンダリング (光文社ペーパーバックスBusiness)


学歴社会の法則 教育を経済学から見直す (光文社新書)


学力と階層 教育の綻びをどう修正するか