2008年1月に公開された、岡田准一(V6)主演のヒューマンドラマ。共演は、宮崎あおい、平山あや、伊藤淳史、塚本高史、緒川たまきほか。原作は、劇団ひとりによる同名のベストセラー小説。スポットの当たらない、日陰者のような道をゆく人々のやるせない日々と再生を描いた物語で、岡田は借金まみれの観光バス運転手・シンヤ役を好演している。売れないアイドル、売れない芸人、アキバ系アイドルオタク、風変わりなストリッパー……思うようにならない人生に戸惑いながら、それでもどうにか歩いていく登場人物たちを観ていると、いつしか自分の姿がオーバーラップしてくる。「人生の機微とはなにか?」という思いに触れられる作品。――ギャンブルにおぼれ、金策に困ったシンヤは、ついに“オレオレ詐欺”で老婆をだまそうと思いつくが……。(みきーる)
良く出来ているが、心には残らない。
★★☆☆☆
劇団ひとりの同名小説をテレビドラマで演出作をヒットさせている平川雄一朗が映画化。9人の哀しくもどこか暖かい原作のテイストそのままに多くの層が楽しめる作品に仕上がっている。
いわゆるグランドホテル方式(群像劇)で、原作を読んでいる方なら特に違和感なく入り込める。個々の役者が及第点的な演技を続け、丁寧に物語を追っているので混乱することなく話の内容を理解できる。ただ、それがネガティブな発想で言えば、やや退屈でスクリーンでの興奮や充実感を満たすには、至らないとも…。
主演の岡田准一が情けないギャンブル中毒の若者を演じ『SP』や『東京タワー』とは違うが、女性の母性本能をくすぐる。止めの絵で観る側をグッとひきつける力はさすが。特にドラマ『ROOKIES』でイケメン役者(誹謗ではありませんヨ)をまとめる平川監督にはお手の物だろう。西田敏行や宮崎あおい、塚本高史などベテランから若手まで安定感のある布陣も「何撮ってもそれなりに見えるんじゃないの」と茶々を入れたくなる。
うーん 感動の押し売り
★☆☆☆☆
原作は、様々な人間模様の中にかなりの皮肉っぽさがおりこまれ、 一筋縄ではいかないヒューマンドラマとなっていました。
しかし、映画ではひたすら泣かせようとする大げさな演出ばかり。
小説は文字で淡々と進みますが、実写は音楽や演技など様々な要素で形づくられています。
この作品だとそれらの演出がすべてくどく、興ざめです。 「悲しい音楽を流して、切ない過去を語らせて、登場人物を泣かせれば感動するでしょ」といった意図が透けてみえます。
妙にセリフがモゴモゴしてたり、いきなりうるさく叫びだすのも不快。
短編を切り貼りして長編にする作りはしかたないことと思いますが、 こうごちゃ混ぜに「ちょっといい話」のつじつまを合わせてくるのもどうかと…
ラストは話の継ぎ足し継ぎ足しでなかなか終わらないし。
偉そうに批判してしまいましたが、シナリオのひとつひとつはとても魅力的です。
西田敏行さんをはじめ、俳優の方々も役にしっくりきています。
構成が巧み
★★★★☆
キャストに拠るところも大きいと思いますが、
実に個性的な人物を描いていて興味深いです。
構成が巧みで終盤では各人が繋がって会するあたりは見所ですね。
ユーモア色もしっかり押さえて飽きさせませんし、あるあると思える演出もなかなかです。
塚本高史さん、平山あやさんメインの本編無関係のサブ要素と思えるアイドル萌えの件が、
面白いですしあるなしでは大分作品の毛色が変わったと思います。
人にものを伝えることの重要性を感じる作品でした。
哀しみの共感
★★★★★
今さら観ましたが、泣けました。泣くつもりなかったのに、途中でじわじわと、最後にはどか―んと(;_;)
人間の弱さとか流されやすさとか、あぁ、あるあるって思える哀しい部分が観ていて泣けました。
でもどんなだめ人生でも、たまには光が射して報われることもあるよって思えました。
原作読んでないけど面白かった。
邦画で久々のヒット。
笑って泣ける良作です。
傑作、感動作ではない。でも人情味のある良作。
★★★★☆
映画自体は少し、はなしがうますぎるようにもみえる。ちょいダメ人間たちの複数の人生模様を過去と現在をつないで進んでいくようなオムニバス的流れ。それが徐々にうまく線でつながってゆく。出演俳優たちは魅力的。宮崎あおいなんて意外な役どころだけれど魅力的に輝いている。岡田准一もなかなか好演。そして三浦友和さんは「転々」でもみせてくれたが、人生でもがくミドルを演じて、もう、圧巻ですね。
ただ「泣ける映画」ではない。そんなに感動的でもないし、たぶん、傑作でもない。むしろ、ほのぼのと、ひとの温かさ、ぬくもりとか、人情味を求めて観るくらいで、ちょうどよい。
ダメ人間でも、日々をもがきながら生きているうちに、誰かが陽を照らしてくれる瞬間が、きっと、いや必ず、ある。わずかな光でさしこめば、人はなんとか、希望を持って生きていける。ただ誰かにそばにいてもらえるだけで、何とか、がんばっていける。そんなふうに、ぼくたち人はお互いに支え、そして支えられているんだね、と実感できた。一度みておいてよい映画とおもいます。