吉田茂を通じて戦前から戦後までの日本現代史を知る
★★★★☆
面白く一気に読み終えた。戦後。首相としてサンフランシスコ講和条約、新憲法をまとめていく元外交官の吉田茂。その生涯は明治終わりから太平洋戦争戦後処理までの同時代史となる。外交官とはいえ、それほど先頭を走る位置にはいなかった吉田茂が、中国や英国での勤務を経て、その時代を見つめ、個人として、また日本のあるべき道を模索していく姿に、尊敬以上に親しみやすさを覚える。「禍福は糾える縄のごとし」同時期に外務省につとめた広田弘毅などがそれぞれ時代の要請を受け政治の表舞台にたち、戦争という激動のなかで運命を異なるものにしていくのは感慨深い。