試験対策として避けて通れない道
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行政法判例百選2は,行政不服審査法,行政事件訴訟法,国家賠償法,国家補償法など主に行政救済法の分野に関する判例集である。
判例百選は一般的に日本で一般的に最も権威がある判例集であり,大学の期末試験,各種国家試験の「ネタ本」の一つである。判例百選に掲載されている判例であれば出題者側は安心して出題できると言われており,実質的に本書は試験の出題範囲の大枠を画する機能を果たしている。とりわけ法律の中でも,憲法,行政法,刑事訴訟法などは判例百選を勉強する必要性が高い科目と言われている。その意味で,行政法判例百選は必携の書といえるだろう。
判例百選に対しては,判例の事実関係の省略の仕方が不適切であるものが含まれている点,解説が玉石混交である点,取り上げられている判例の数が必ずしも十分ではない点など批判も多い。
もちろん,これらの批判は当たっている部分もある。しかし,このような批判を前提としたとしても,判例百選は実質的に試験範囲を画する機能を営んでおり,試験対策として最も有効なツールであるとの事実は揺るがないだろう。行政法のように判例が重要な分野では特にそうであると思われる。
行政法を勉強しようと志した方は,購入して手元に置いておいて損はない本である。