わいせつ小説を記した罪で逮捕され、シャラントン収容所に入れられているマルキ・ド・サド侯爵(ジェフリー・ラッシュ)。しかし彼の小説は、小間使いマドレーヌ(ケイト・ウィンスレット)を介して、その後もひそかに出版され続けていた。その事実を知った政府は、コラール博士(マイケル・ケイン)を「治療」のため、収容所に送り込むが…。
『ライトスタッフ』『存在の耐えられない軽さ』などの巨匠フィリップ・カウフマン監督が、禁断の作家サドの真実に迫りつつ、その周辺の人物たちが彼及び彼の小説によって運命を狂わされていくさまを丹念に描出していく愛欲と倒錯の人間ドラマ。キャストそれぞれの熱演も印象的だが、エロスと宗教の相関関係に焦点が当てられているのも興 味深い秀作である。(的田也寸志)
きもい
★☆☆☆☆
最初のギロチンのシーンから、オエーっていうくらい、リアル。評価が高い作品だから、と購入しましたが、ヨーロッパって、こんな歴史の上に成り立っているのかと思うと、学校で習った世界史が上辺だけだなぁと感じます。でも、きもかった。
食い入るず
★★★★☆
数々の不品行(虐待、乱交、男色)で投獄生活を繰り返したサド侯爵。
獄中で書いた作品「美徳の不幸」を出所後匿名で出版するも、時の権力者ナポレオンによって「狂人」とされ1803年シャラントン精神病院に収容された。
彼の著作は死後100年以上経過した後に発見され出版されたが、シャラントン入院後の作品は今だ発見されておらず、著作活動の有無は不明。
徹底した反宗教、反権力、性的束縛への反抗のリベラル思想家で本人はマゾヒスト。
この映画はサド侯爵の歴史に埋もれた晩年期の闇に光を当てた作品。
それまでの獄中での多数の作品群を見れば、彼がシャラントン精神病院収容後に突然執筆活動を停止するのは不自然である。
サド侯爵の書こうとする熱き情熱と、それをさせまいとする権力者の弾圧があった事は容易に想像できる。
それにしても凄まじい映画である。
天才のほとばしる才能の発露は自分自身も、ましてや他人や権力で抑えきれる物ではない事を思い知らされました。
凡人であれば少しの妥協で自由の身で著作活動が出来たものを…
役者達の名演技や内容については、あえて触れないでおこうと思います。
ただ、サド侯爵が最終的に入れられた牢獄部屋は現在の日本にも同じ様な造りで存在しています。
言う事を聞かない反抗心の強い者の収容施設として…
観れば感じるものが絶対あるはずです。
禁欲的な神父が堕ちてゆく姿がたまらない
★★★★★
禁欲的な神父を演じたホアキン・フェニックスが、
魂まで堕ちてゆく姿が魅力たっぷりで目が離せない!
熱いものを秘めた、あの瞳。どこかエロティックで
ドラマチック。もう、たまらないものがあるんです!
この映画は、ホアキン目当てに、なんどか見たけど、
見るたび、神父の堕ちゆく姿にそそられてしまいます。
物語で興味深かったのは、サディズムの語源になった
マルキ・ド・サド侯爵が意外とノーマルだったことだ。
院長の方が、ずっとサディスティックで怖かったし、
他の人も、あやういアブノーマルさをたたえていた。
サド侯爵は、創作の泉の元に生まれた希有な作家で、
尽きないイマジネーションを、書いて、書いて、
ただ、ひたすら書き残しておきたかったんだと思った。
あの時代の、あるクリエイターの情熱に圧倒された。
見どころの多い映画で、とても面白かったです。
ひょっとして、とんでもない名作かも…
★★★★★
クイルズ。それはインクに浸して羊皮紙に文字を綴るための羽ペン。
衝撃的なオープニング。あまりにも刺激的な数々の言葉と映像。
マルキ・ド・サド伯爵の性への執着は、狂気だったのか?極限の甘美だったのか?
神への冒涜と非難される一方で、その衝撃的な描写は市井の人々に大いに人気を博する。
サド伯爵の本質は、たとえ歪んでいたとしても、自己の創作意欲の表現の場をひたすらに求め続ける純粋さを併せ持つものだったのかと考えさせられる。
ペンを…インクを…と叫ぶ彼の姿よりも、それを取り巻くドロドロとした人間のおぞましさを知らされる。
この映画…とんでもない名作かもしれない。大拍手!