問題を解き、数学をつくる授業
★★★★★
杉山吉茂先生の、中等科の数学教育に関する講義をまとめた本である。
「序説」となっているが、網羅的で手引きとなるものではなく、
講義録をまとめ、多くない補足をもってまとめたものである。
「あとがき」に、このようなことが書かれていた。
「しかし、やがて、おかしな学生がいることに気づいた。考えようとしない学生、問題を解こうとしない学生である。(中略)このような考えようとしない学生が先生になったら、考える子どもが育つことは期待できまい。」
本書では、学生と先生が共に問題を解決しながら授業が展開されている場面が多くある。
また、「生徒が数学をつくる」ことを想定した場面も多く紹介されている。
画一的な知識技能伝授の数学教育を受けた身としては、なんと羨ましいものだと感じた。
このような指導を受けた学生が、この講義を昇華させ現場にいるのなら、授業を受けてみたい。
活き活きとした生徒たちが、問題を真剣に悩み、解き、数学を作り上げているのかもしれない。