テスター ホントの仕事
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アジャイル開発におけるテスターの役割を明確に定義した価値ある一冊です。
プログラマ目線のテスト(TDD等)について書かれた書籍は色々とありますが、
テスター目線というのが新鮮で参考になりました。
ビジネス面のテストというのがテスターのキーワードだと感じました。
本書では、テストの目的をハッキリさせるために「アジャイルテストの4象限」
という考え方が紹介されています。
・単体テスト
・機能テスト
・探索的テスト
・パフォーマンス/負荷テスト
この考え方が非常に分かりやすく参考になりました。
前提知識として、アジャイル開発を多少は経験していないと
理解するのは難しいと思います。
「フィーチャ」「ベロシティ」という単語が理解できていたら大丈夫です。
全体を通して具体的な事例やツールの紹介が多くあるのですが、
web系ばかりなのが残念でした。
アジャイル開発のテストの最高のガイドブック
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アジャイル開発におけるテストについては、「テスト駆動設計」や xUnit などのツールなど、技術者視点の情報ばかりでした。
この本は、もっと広い視点でテストを扱っています。
技術視点とは別に、ビジネス視点のテストも大切。
アジャイル開発チームを支援する継続的なフィードバックだけでなく、できあがっていくソフトウェアのビジネス価値の継続的な評価も大切。
本書は、こういうビジネス視点も含めて、さまざまなテスト活動をアジャイルに実践する考え方とやり方を体系的に取り上げています。
現在、アジャイル開発を実践している人たちは、本書を読むことで、アジャイル開発がもっと楽しく、もっと大きな成果を生み出すやり方に発展させるヒントになると思います。
従来型のやり方の組織で、開発に取り組んでいる人たちも、いまの品質保証活動を、生産的に効率的に改善するための、良い参考情報になると思います。
この本は、テストを根本的に変えよう、と言っているのではないと思います。
テストのやり方を、今日から、小さく一歩変えてみる。そして、毎日、すこしずつテストの考え方、やり方を発展させていこうという、アジャイル流にテストに取り組み、テストのやり方を発展させていくためのガイドブックなんだと思います。
全体は6部構成。
1部は、概論。
「アジャイルテストとは?」と「10の原則」。ちょっとたいくつかな。たいせつなんだろうけど。
2部は、「組織的なチャレンジ」。
リーダーとか、マネージャ役の人たちには重要だし、とても参考になる内容。
テスト技法ではなく、組織や文化的な課題への取り組み方のガイドです。
3部は、「アジャイルテストの四象限」。
テストを広い視野、複数の視点で理解するためのマップですね。
どういうテストが行われるべきかを、チームで、振り返りと見直しをするガイドになります。
4部は、「自動化」。
テストの自動化に何を期待するか?
自動化を阻害するものはなにか?
テスト自動化への戦略的な取り組み方。
個別の自動化技術については、たぶん参考になる情報は少ないです。(ネット上で探したほうが良い)
課題の整理や、考え方を学ぶためには、良いガイドだと思います。
5部は、「テスターの活動における反復」。
「反復」をテストの視点から詳細に検討・説明しています。
テストの説明というより、アジャイル開発における反復のやり方を、深く理解する手がかりになります。
6部は、「まとめ」。
アジャイルテスティングの成功要因を7つあげています。
著者は、最初に、ここを読んで、その中で興味を持ったテーマの説明箇所を読むことを「てっとり早い」読み方として勧めています。
体系的で網羅的な本書ですが、著者のメッセージは明快です。
「さあ、今日から始めましょう!」
小さなステップをいますぐ踏み出すための本なんです。