ノーベル賞なのかあ……
★★☆☆☆
作者がノーベル文学賞受賞者だと、あとがきを読んで始めて知りました。
でも正直「なんで?」って感じ。
私の読み方が浅いのか、それともこの本は作者のベストな仕事ではないのか……。
寓話というにはリアルすぎ、現実に根ざした小説とするなら「そんなにうまくいくかよ〜」で、中途半端に感じた。
ノーベル文学賞の権威の前では、言えば言うほど読解力のなさを露呈することになりそうでびびりますね(笑)
4つの短編が収められていますが、最後の「愛の結晶」はおもしろかった。ものがたりの力で、ぐいぐい引っ張られました。
しかし3作品とも(2番目の「ヴィクトリアの運命」は食指が動かず未読)、男女の間には恋はあっても理解や愛はなく、それがあるのは女性同士の間だけ。いたって通俗的な人間である私には「なんかなあ……」です。
作者にとって男性の魅力は、18歳ぐらいのアポロン的青春の輝きがピークで、その後は余光に過ぎないらしい。
そのせいか、女性は自分の人生をコントロールできるが、男はだいたい無力に振り回されて終わっている。
こういう小説を男性はどう感じるのか、ちょっと聞いてみたい気がします。