彼女が出会うのは90過ぎの貧しいひとり暮らしの老女。
将来の自分を老女に重ねて考えながら、
意固地で自分勝手な老女に何故か興味を持ち惹かれるようになる。
仕事の合間に老女の元に通うのだが・・・
老いの問題。ボケの問題。死の問題。
死ぬことを考えてながら、生きることの意味を探し
ボケることを恐れながら、ボケと向き合っていく。
主人公のトゲが少しずつ抜けていくところは
旅情のキャサリン・ヘプバーンが、徐々に肩を張らなくなるのに
似ているなあと思い読みました。
老いること、生きることとはどういう事なのか、
恐れずに見つめることの勇気を教えてくれる本です。
2003年、岩波ホールで上映された映画の原作です。