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夕映えの道 ―よき隣人の日記

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社
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忘れられていく ★★★★☆
よく遊びに行った同級生の家々には、孫たちとも一緒に住み、そして亡くなったおじいちゃんおばあちゃんが結構いるような気がします
だから、モーディーのように寂しい思いをしている老人が、現実いることに驚きました
でも、ニュースではお年寄りの孤独死についてたまに流れているので、案外日本にも多いのか、とも思い直しました
また、今時、お湯の出ないアパートがあるか?と疑問に感じましたが、この本は約30年前に出版されたものでした
そういえば作中で携帯電話やインターネットが全く出てきてなかった気がします
退屈はあまりしなかったけれど、全体的に穏やかで、がっついて読みたいことはありませんでした
ただ、初秋の暖かい日にベンチに座ってのんびり読書ができ、とても気持ちが良かったです
友情 ★★★★★
老女の醜悪な生活ぶりに、読者はほとほと悲しくなるだろう。
その対比として、主人公である女性誌の副編集長の生活ぶりは、まさにスタイリッシュ…。 
 イタリアのファッション誌に出てきそうなインテリア、上質なマテリアルの服装、ストーリーとは離れるが、作者のセンスの良さが反映されている。 
 そして、この作品を、単なる老人問題の物語ではなく、「友情」の物語としているのも、その「ファッショ」ンだ。 
 本物のエレガンスを知っている前世紀の証人である老女に主人公は信頼とシンパシーを感じたのではないだろうか?
 自分の人間性に、人生の半ばで疑問を抱く主人公と、なりふり構わず自活することにプライドを持つ老女…、どちらも合わせ鏡のように、すべての人に通じているのかも知れない。
老い ★★★★★
 誰にとっても、老いや死の問題を考えるのは心労の伴う課題だ。それと孤独に立ち向かうことも。
 この作品では、レッシングはそのような人間のセンシティブな、しかし、普遍的な問題に斬新にメスを入れた。
 私が一番感動した箇所は、「人が死ぬと、私たちが悔いるのは、その人とじゅうぶんに話をしなかったということだ」という、主人公が自分の母や祖母と心からの対話をしなかったことを悔いる場面。
 人は自分が知らないものに対して恐怖を抱く。老いもその一つ。しかし、自分とは世代が違う親戚や隣人がいて、その人の話を聞く機会があるとは、とても素晴らしい事なのに、多くの人がその機会をあえて避けているというのが悲しい現状である。
 いつも一つだけのテーマに限らず色々なテーマを取り上げる作家ならではの手法はこの作品でも生かされ、テーマは老い、死、孤独だけではなく、階級問題、医療問題、尊厳死の問題、親族関係、男女の関係、セクシュアリティー、女性の友情などと幅広く扱われている。
 現本はまだ読んでないが、訳者の篠田綾子さんの訳は開明でとても感情に訴える力があった。特に、訳者自身も登場人物と同じ病気の経験者とあって、病院でのシーンは迫力があった。
 存在主義者のレッシングだから、老いや死の問題に関し、死後の世界に救いを求めるとか、楽観的な結末は与えてくれない。しかし、この作品の中にも救いはある。それは、生きている間の人との関わりにおける愛情の交換だ。
 読んでいて辛いけど、読んでよかったと思う。そして若いうちにこの作品に出会えて、今後の人生に対する態度を変えさせてもらった。
生々しいほどの老いを見つめる険しい目がやさしい ★★★★☆
主人公は仕事では成功をおさめたけれど、
家族もなく孤独をかかえて中年にさしかかった女性ジャーナリスト。

彼女が出会うのは90過ぎの貧しいひとり暮らしの老女。

将来の自分を老女に重ねて考えながら、
意固地で自分勝手な老女に何故か興味を持ち惹かれるようになる。

仕事の合間に老女の元に通うのだが・・・

老いの問題。ボケの問題。死の問題。

死ぬことを考えてながら、生きることの意味を探し
ボケることを恐れながら、ボケと向き合っていく。

主人公のトゲが少しずつ抜けていくところは
旅情のキャサリン・ヘプバーンが、徐々に肩を張らなくなるのに
似ているなあと思い読みました。

老いること、生きることとはどういう事なのか、
恐れずに見つめることの勇気を教えてくれる本です。

2003年、岩波ホールで上映された映画の原作です。