少し大人になって、自分の思いを語ろうとする少女
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前作の続き。家へもどされた少女は、無人の古いお屋敷のある、荒れ果てた庭で一人、「くちでいえないことをぜんぶ」ノートに、手紙として書きはじめますが、お屋敷には人がいるらしく……。
前作では、わかってほしいという気持ちを持てあまして「家出」した少女も、少し大人になり、手紙を書くことを思いつきます。そして、その手紙は家ではなく「わたしのひみつ」である、ひとけのないお庭で「ひとりっきり」書くことにする。そこに、少女の成長ぶりが表れています。
前作の見返しは白紙のままでしたが、今回は前見返しに、何も書かれていないノートのページ。後ろ見返しに、手紙の一部が書かれています。夜、自分が眠るまでそばにいてほしい……。そんなささやかなことができなくなっている、現代の大人。でも、世界には、少女をそっと見守る人もいるのだという救い、「わたしにこたえてくれるわ……きっと」と信じる少女の気持ちもある。それが、未来への希望のように感じられました。