これはリーダーのバターよりも、表面的には、ジェフ・マルダーとエイモス・ギャレットが中心のアルバムだと思う。この二人のカントリー・フレイバー溢れるインテリジェントでエレガントなブルース・プレイは聞き物だ。白人ブルース・マンとしてシカゴ・ブルースを長年追求していたバターだけど、黒人と同じ土俵で勝負するのではなく、一歩引いて、無理せずに白人らしさを隠さず出してブルースをプレーすることでステップ・アップし、本家の黒人越えを果たしたと思う。ウッドストックのハイダ・アウェー的雰囲気と相まっていい味出しています。
久保田真琴と夕焼け楽団のディキシー・フィーバーに参加していたロニー・バロンのピアノと個性的なボーカルもニューオーリンズ丸出しでエクセレント。それに弱冠22歳のクリス・パーカーのどこまでもクールで的確かつ正確な刻みもグレート。
ミシシッピー出身のブルース好きなアメリカ人(白人)と付き合っていたとき、"Top of the White Blues"と言って、買ったばかりのこのCDを貸してあげたら、国(ミシシッピー)に帰ったら絶対このオリジナル・アルバムを見つけると意気込んでいました。コアなデルタ・ブルースではないけだ、白人だって自分達の特長を生かした、ブラックに負けない最高のホワイト・ブルースが出来ると言う証。
「Please Send Me Someone to Love」でのジェフの枯れた唄やエイモス・ギャレットの甘くとろけるような脳天逆落としギター、「Broke My Baby's Heart」でのロニー・バロンの柔らかいながらも強い唄声、絶妙にからむポール・バターフィールドのハープと聞きどころ盛りだくさん。
一曲ずつシリアスに聴けば深い音楽性を堪能でき、BGM風に流しながらの読書やコーヒーブレイクにももってこい。楽しめてクセになる長年の愛聴盤です。