第一版の発行が40年近く前なのが多少気になったが、読んでみて驚いたのはその当時の大学で問題とされている事と現在の大学において問題にされている事が非常によく似ている事である。教養と専門のバランスをどうするか、中学高校での勉強と大学での勉強はまったく違う、など。また、世界を取り巻く、当時の世相と現在の世相の類似、ベトナム戦争とイラク戦争。これらの状況を考えると、40年前かどうかはどうでもよいことである。
内容については著者の専攻が社会科学の分野であるから、理系の人にとっては興味がわかないかもしれない。また、著者の研究分野に関する回顧も読み飛ばしたくなる内容であった。しかし、趣旨は一貫している。自分で考え、意見には論理性がなければならない、ということである。