インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

夜愁〈下〉 (創元推理文庫)

価格: ¥924
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
Amazon.co.jpで確認
こんなにも瑞々しく、こんなにも無垢なものが・・・ ★★★★★
2年以上もたっているのでレヴューはどうかと思いましたがこれは美しいロマンスだと思いましたので別の立場から一筆。
サラ・ウォーターズの3番目の邦訳「夜愁」は「半身」「荊の城」のようにビアンが登場するので前作の強い先入観と本書の時間が逆行していくスタイルに始めは戸惑いを感じました。

戦争中のロンドンの生活がきめ細かく描写されていて当時のロンドン市民の温もりと息遣いが随所に感じられる「人間」の物語です。
第二次世界大戦下のロンドン、5年目に突入したドイツとの戦争で決定的な勝利の兆しが見られない英国、ドイツ空軍の連夜の空襲で火の海となったロンドンで生きていく4人の女性と3人の男性の物語です(登場人物はもっと沢山いますが)。
ケイ、ジュリア、ヘレン、ヴィヴのどんなに激しい愛でもシャボン玉のように壊れやすく結局は空襲の街のように簡単に崩れるものだと思いました。
1944年の章では全般をとおして空襲で次々に破壊されていく街の描写や危険を顧みず負傷者達の救護や消火活動をするホームフロント(警官や防空警戒員や救護員、医者など)の活躍は圧巻です。
爆風で吹き飛ばされて串刺しになった女性や救出中に空襲で殉職した救護員、足ない男などたくさんのエピソードが随所に出てきます。
登場人物のケイ、ヘレン、ヴィヴのようなサービス・ウーメン(公職についた女性)やジュリアのような民間の女性、ダンカン、フレイザー、レジーのような男性は当時あそこに本当に存在していたし、あのような会話をしていたと信じたくなりました。

物語の進行は1947年(終戦2年目)から始まりページ数の一番多い1944年(連合軍がノルマンディーに上陸する前)、そして1941年(ドイツ軍の英国上陸を阻止したバトル・オブ・ブリテンの翌年)の順で過去に遡るので「彼らの出会いのきっかけやあの時のあれはそういう事だったのね」と繋がりを楽しませてくれる推理小説みたいなところもありました。
再読する時は1941年から読もうと思いますがそんな事をしたらこの小説の美しさが壊れてしまうかもしれませんね。
なぜなら最後の行がとても美しかったので。

最後に、冒頭の1947年の章に関連してですが、戦争が終わって喜ばしいはずなのに戦時公職から解かれて社会で行き場のなくなったケイのようなサービス・ウーメンが何十万、何百万もいたと聞きます。
ほとんどの女性達は男性のように新しい仕事に就けずに家庭内に戻るか結婚するかの選択だったようです。
かわいそうなケイ
ブッカー賞最終候補作らしい佳品 ★★★★★

「半身」「茨の城」でこのミス一位を2年連続でとったサラ・ウォーターズの3つめの邦訳です。第二次世界大戦中・後を舞台に、現代から過去へとさかのぼる構成で、複数の人間の心の闇を丁寧な筆致で追っています。本作もこのミスにランキングしているので、それを見て購入を検討される方もいるかもしれませんが、この本はミステリではありません。ミステリの要素はあるのですが、シリアスな文学作品と思った方が実際に近いです。

イアン・マキューアン「アムステルダム」やカズオ・イシグロ「日の名残り」などが受賞したブッカー賞の最終候補ですので、作品の質は折り紙つきですが、普段ミステリなどの純エンターテイメント小説やハリウッドなどの娯楽映画しか見ないという方は、楽しめないかもしれません。純文学小説やヨーロッパ映画なども好き、救いのないものでも良いものは良い、などという方にはおすすめです。

ですが、まったく面白くないのかといえばそうでもなく、もともとミステリを書いている人だけあって、謎をうまく引っ張りながら高いリーダビリティで読ませます。私は前巻の途中からは一気に数時間で読んでしまいました。邦訳された3作品の中で一番好きなのもこの作品です。ただ、大きな事件があるわけではないので、淡々とした面白さ・人間の心の謎を追う面白さにはあまり興味がないという人には退屈かもしれません。

同性愛表現がこれまでで一番顕著ですが、女性同士でも片方が男装の麗人だったり、中性的な美女だったり、男性同士でもこちらは表現が薄い上、ハンサムな青年と少年に近い美青年だったりするので、あまり生々しくはありません。耽美小説の延長上くらいの感覚で読めるのではないでしょうか。

これってミステリ??(ネタばれ注意!) ★☆☆☆☆
どうしてこれが2007年のミステリのベスト10に入るんだろう?無論おれがぼんくらな本読みだからかもしれないが、第2次大戦時のロンドンを舞台にした、レズとホモの暗ーい物語を延々と読まされた気分は最悪だ。巻末解説で散々持ち上げているが、この人本当にそう思っているのかいな?「半身」もイマイチだったけど。まあ、気取った普通文学ファンなら許せるかもしれないが。
期待高かっただけに・・・ ★★☆☆☆
 サラ・ウォータースの前二作を大変楽しく読んだため期待度満点で本書を手に取りました。

              正直「?」

 時は第一次大戦後。場所はロンドン。まずは主人公達のおかれているままならない、
しかし一見平和な情景が描かれる。
 
 前作を読んでいた自分はここをベースに事件がおこるのかと想像する。

 が、事件は起きない。
起きるかと思うと時間は巻き戻され、
その日常を作り出した大戦中の主人公達までさかのぼる。
 
 戦争という時間のなかで新たな事実が描かれ、現在(大戦後)の世界の新たな面が見えてくる
かとおもうと、それほどでもない。一つの謎が解ける事はとけるのだが・・・・。

 作者の語りたかった事はどうやら日常のやるせなさであるらしい。
が、あまりよくわからない・・・・こんなに未消化なままレビューを書いては
いけないだろうか、しかし・・・・残念ながら期待に応えてはくれなかった本書。
残念。