Activistによる、グローバルフードシステムへの挑戦状
★★★★★
なぜ、莫大な資金援助をしてもなお、飢餓がなくならないのか。
なぜ、農家は自分の農地で自分の食料を栽培できず、土地を追われ、自殺に走るのか。
自分で植えたはずの作物が、なぜ彼らの生活を支える糧とならなかったのか。
農家から私たちの食卓を結ぶ食料供給システムの根幹をなす残酷な関係が、
詳細かつ裏付けのある資料と共に冷静に分析されています。
またスーパーマーケットの「豊富な選択肢」についても言及し、
私たちがどのように、何を食べているかが、白日のもとに晒される、そんな印象を持ちました。
この手の書籍でありがちな、第三者視点の正義感からのシュプレヒコールのような文体は
うんざりさせられることが多いのですが、
企業とは相反する立場にいるにもかかわらず、偏り穿った表現は見られず、読みやすいです。
また、消費者の問題にも言及しています。
訳者が指摘するように最終章の冒頭も重要ですが、
それ以上に秀逸なのは、最終章における実践の提案だと私は思います。
この書籍で、実名で指摘される多くは多国籍コングロマリット企業で、日本は関係ないと思いがちですが
日本が持つ問題も、訳者によって巻末でまとめられておりますので他岸の火事では終わらないかと(笑)
当事者意識をもつかどうかを問う以前に、もう既に当事者であることを思い出させてくれます。
原著は2005年に出版されたため、リーマンショックについては記載されていません。ご注意ください。