本作前と後を鮮やかに隔てる因果境界線的金字塔
★★★★☆
これは、もう、身体に染み込んでしまいます。読後、何かが確実に自身内に生まれましょう。
『ズボン塚』の刹那が、一冊まるごと貫いており、全キャプションを支配し、著者、根本敬の過去の作品にも、くまなく作用し、登場人物全員を愛しく思ってしまいました。不覚にも。(交尾する象にも。シュウラク・ジャックまでをも)
根本読者には、周知の、スターシステムと理解しながらも、『生きる2010』の、とりわけ『ズボン塚の由来』により、根本作品お馴染みの、主要登場人物に対する、慈しみを覚える事ができるとは!
まぎれもなく、称賛の嵐でしょうが、今後の根本敬への要求度も高度成長かも。
本意でなくとも、古い馴れ親しんだ『ズボン』を棄て、新しい『ズボン』を身に付けた村田(根本敬)の、今後の所業に、目を離せなくなった、わたくしです。ファンは、いつ世に放たれるのか!?と、固唾を飲んで、放置プレイ状態の、『精子三部作』完結編に、いやが上にも、期待が高まります。
おそらく、根本敬は、他界されたマディ上原氏、村崎氏(根本敬の盟友)二名様に、『ズボン』託されたのでしょう。
しっかし、成熟した根本ファンも、新たに根本敬の洗礼受ける方も、堪能し感応しよがりまくりの好著であろうことと思われます。