現代ジャズ・シーンを縦横無尽に駆け回る人気ピアニスト,上原ひろみが,初のアコースティック作品に挑んだ。名ベーシスト,スタンリー・クラークのトリオに参加したかたちのアルバムだが,上原のピアニズムはパワー全快! 時に叙情的に,時にアグレッシブに,名手たちの胸を借りて,とってものびのびとプレイする姿が印象的だ。ドラムはレニー・ホワイト。すごいトリオが誕生したものだ。(Swing Journal)
上原ひろみのニュー・プロジェクトは実力派&リターン・トゥ・フォーエヴァーのメンバーとのスーパー・トリオ。 上原ひろみにとって初の全編ストレート・アヘッド・ジャズ作品となった本作は、あのリターン・トゥ・フォーエヴァーのメンバーであり、ジャズ界の大御所といえるスタンリー・クラーク(b)、レニー・ホワイト(ds)と組んだトリオ。
名義上は“スタンリー・クラーク・トリオ"となっているが、双頭リーダーともいえるくらい上原ひろみの元気なピアノも目立っている。 ディズニー・スタンダードの「いつか王子様が」、ジョー・へンダーソンの「アイソトープ」、マイルスの「ソーラー」の他、上原ひろみの選択であろうかレッド・ホッド・チリペッパーの「アンダー・ザ・ブリッジ」に日本の名曲「さくらさくら」。そして、上原ひろみの新曲2曲「ブレイン・トレーニング」「シシリアン・ブルー」も収録されるなど、上原ひろみのピアノとスタンリー・クラークのベースとの相性も抜群。(The Walker's 加瀬正之)
必然性が分からない
★★☆☆☆
オーソドックスというよりも平凡なモダンジャズ。上原ひろみはサポートに終始していてもったいない。この3人が集まってこんな曲を演奏する必然性があったんでしょうか。期待しなければ、まあまあのジャズですむんですが、どうしても期待しまいます。その分、残念度も増すわけです。大物が集まっても目的意識がなければ凡庸な作品ができてしまうんですね。本当に残念です。
スタンリー・クラークは退屈
★★☆☆☆
他のレビューでも書かれてる通り、あくまでも主役はスタンリー・クラークです。
スタンリーは(例えばスティーブ・ガッドやスコット・ラファロのように)所謂「リズム隊」として盛り上げることは不得手で、ソロで目立つことしか出来ない人なので、それも仕方ないでしょう。
しかし不幸なことに、スタンリー・クラークは抜群のフィジカルスキルに反して、ミュージシャンとして凡庸で退屈なプレイしか出来ない人(速いけどそれだけ)なので、チック・コリアのような非凡な人が全体をまとめないと「ベースを使った運動会」に終わってしまいます。
このアルバムも一度聞けば「もういいや」と言う程度のものです。
(RTFの頃から全く成長も進歩もしてないことに驚きました。)
上原ひろみが遠慮せず、もっと暴れれば良かったんですけどねぇ(チックとのデュエットのように)。
いっそ上原ひろみをリーダーにした方がよほど良いアルバムが出来たかも知れません。
アコースティック・スタンリーの新境地
★★★★★
これはあくまでベーシスト、スタンリー・クラークのリーダーアルバムである。しかも、彼としては数少ない全編アコースティックサウンドである。だから、スタンリーの特にウッドベースの超絶テクニックのファンである私には、たまらない作品だ。しかし、彼には過去にも「Standards」というアコースティックトリオの作品があったが、それと比べて決定的に違うのは、上原ひろみの存在だろう。彼女の才能あふれる個性とスリリングなプレイがスタンリーとレニーにうまく溶け込んで、オリジナリティー溢れる演奏を展開している。ただ、上原のエレクトリックなサウンドのファンには合わないかも……。
録音技術
★★★☆☆
選曲の面白さが光っているのと、集めたメンバーの期待がある作品でした。
特にUmder The Bridgeがよかった。
4ビートはそれ程得意には見れなかった3人だったので、この企画でなくてもよかったのではと思わせる内容でした。
一番残念なのは、録音のグレードがいまいちだったのですが、録音のセンスでしょうか、いい音とはいえなかったような感じがします。
上原さんのBrain trainigは面白い曲ですね。
異世代コミュニケーションが良好なようで
★★★★★
スタンリー・クラーク氏の音楽性の広さと深さ、大人の余裕みたいなものの表れた作品だと感じました。
今回のアルバムについて、この3人の組み合わせと聞いたときには、てっきりもう少しエレクトリックなものも想像しており、全編アコースティックだとは思っていませんでした。
しかし、しょっぱなから、じわーっとその音の作り出す世界に導かれ、いつまでも浸っていたい気持ちにさせられました。
おじさん2人の演奏は(当然のことながら)どっしりとすばらしく、若者もすばらしい。。。
上原さんの演奏は、その尖ったところで注目される面もありますが、それだけではなくてもっと普遍的な意味合いでの音楽性の深さや、真摯な態度があり、スタンリー氏にも(おそらく他のベテランミュージシャンにも)そんなところが気に入られたのではないかな、と想像します。
ただ新鮮な若手を入れて活気が出て良かった、ということではなく、対等に対峙すべき相手として共に音楽を作り出している様が楽しく聴こえます。
3曲目に入っている上原さん作曲の「シシリアン・ブルー」も、このトリオだからこその落ち着きと風格が感じられました。
同世代の間でしか魅力を理解されないということもなく、上の世代にもかわいがられるというのは得ですよね〜。