地デジの全般的な教科書として最良の一冊
★★★★☆
専門書店で地デジ関係のあらゆる出版を手にしてみましたが、全般的な教科書として一冊購入するなら本書が最良と思います。送信から受信までの要素技術が網羅されており、間違いが散見されるようなこともなく、さすがNHK技術陣の執筆というだけあります。
ただし「教科書」とはいっても、アナログ放送のように一冊で全ての技術をほぼ完全に理解するということは到底出来ないでしょう。これは地デジに使われている技術が広範囲であり、かつ個々において相当深いものであるため、仕方のないことです。たとえば、MPEG-2 や デジタル変調 だけでも分厚い技術書が出来てしまうくらいですから。
余談として、他の方のレビューにもありますが、ITEの「デジタル放送ハンドブック」は教科書としては最適ではありません。
ARIB規格の要点をまとめたものであるため、どちらかというと放送の実務者が手元に置いてパラメータなどを参照するためのものです。
幅広い。
★★★★★
2007年発売、NHKが編集したデジタル放送についての総合的な解説書です。
「第一章・デジタル放送のあらまし」ではデジタル放送の簡潔な歴史と、そのメリット、デジタル信号生成や送出までのおおまかなフローを解説する。
「第二章・映像・音声のデジタル符号化と多重技術」ではデジタル放送に使われている映像(MPEG2/4)、音声(AAC)、字幕、データ放送(BML)、多重化、PSI・SIの技術解説を行う。
「第三章・デジタルテレビ放送の伝送」では主に電波についてとりあげ、デジタル信号をどう電波に載せるのか、ノイズ対策やエラー訂正技術について解説する。
「第四章・デジタルテレビ放送サービスの運用と設備」ではデータ放送やマルチ編成、双方向通信、著作権保護やワンセグについての技術・運用を解説する。
「第五章・デジタルテレビ受信機」では、受信機側の機能や動作について解説する。また受信機に使われるPDPやLCDのしくみやDVD、BDの基本的な技術解説もしている。FEDにすら言及している。
「第六章・デジタルテレビ放送受信の実際」では主に受信設備に注目する。アンテナや共同受信設備などについて解説する。
「第七章・その他デジタル放送動向」ではデジタルラジオの技術、海外のデジタル放送の動向について解説する。
実に多岐に渡る盛り沢山な内容となっていて、読み応えがあります。また技術の解説も数式を多用するのではなく、図による簡潔な説明に抑え、これから勉強する人向けにわかりやすく作られています。
なかなかの好著だと思います。
テレビ技術関連の教科書はNHK出版に限ります。
★★★★★
はるか昔、”家電修理技術者(現:家電製品エンジニア)”の資格を取る時に使ったのは、NHK出版の教科書でした。
本書も、標準の教科書としてリストアップされていると思われます。
本書の優れている点は、技術的な概念部分を懇切丁寧に説明していることでしょう。
すぐに、回路設計やデバイスの使い方などに論点が移りがちですがそういったことはありません。
デジタル放送といっても、単に今までアナログだった信号をデジタルに変えたというだけではなく、それに付随して、サービスの基盤となるような技術が盛り込まれていることがよく理解できます。
ワタシが知らなかっただけかもしれませんが、放送用マルチメディア記述言語のBMLなんて言うのが存在するんですね。XMLベースだそうですが。
こんなの本書を読んで、初めて知りました。
網羅的に、しかも深く記述されていますので、教科書としては非常に良いでしょう。
非常にわかりやすい
★★★★★
デジタル放送について学ばなければいけなくなり、ハンドブックを含めていくつかの本を買って調べた。
その中では、この本が一番わかりやすくまとめられている。その上価格もハンドブックに比べて1/5以下である。
この本を見たとき、ハンドブックを購入したことを激しく後悔した。これがあればハンドブックはもう要らない。
電機メーカで知財関係の仕事をしたり、特許事務所に勤務する弁理士、特許技術者には必須の一冊となるだろう。
難しくなりがちなOFDMに関する記載も分かり易く非常に書かれている。
現に知財に勤めている知人の弁理士の多くがこの本を使っている。