大菩薩峠 [DVD]
価格: ¥3,400
時は幕末。剣客・机龍之介(片岡千恵蔵)は試合で殺した男の許婚お浜(長谷川裕見子)を犯して妻とし、その後新撰組に入隊して京都へ赴く。一方、龍之介に殺された兄の仇を討つべく、宇津木兵馬(中村錦之助)もそのあとを追うが……。中里介山の大長編時代小説を、名匠・内田吐夢監督が映画化。同小説はこれまで幾度となく映画化されてきているが、この内田監督による三部作を最高傑作として讃える声も多い。時代劇の大御所・片岡千恵蔵の机龍之介は刀を殺戮の血生臭い道具とみなす殺気立った雰囲気を全身から醸し出しており、殺陣のダイナミズムも併せて優れた存在感を示している。また、人間のすべての所業を天から見据えた演出の視点は仏教的無常観も濃厚。これには戦後シベリアに長く抑留されていた内田監督の虚無的な死生観も強く影響しているのだろう。(増當竜也)