クマは、今なぜ人里に出てくるのか?
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秋になると、クマやイノシシ、サルたちが村や町に出てきて大騒ぎというニュースが流れ
ます。ニュースは、何かしらクマやイノシシが悪いような印象しか与えません。しかし、
彼らが人里に出てくるには理由があります。森に食物が無いからです。何となくわかって
いたような話ですが、森山さんの話を直接聞いてから、この本をまた読み直しました。
動物たちが、森から出てこなければならないほどに、いま日本の森は荒廃しているという
ことを(みなさん薄々感じてはいるのでしょうが)身にしみて感じさせられました。
クマは、森が豊かな森になっていくときに欠かせない番人のような森の住人なんだという
ことを思い知らされました。クマは森の有様の生き証人。クマが安心して暮らせない場所
に、今の日本の森はなってしまっている。森山さんの話を思い出しながら、そんな思いが
突き上げてきます。
銃で殺されるクマがかわいそうだ。そんな中学生たちの思いと行動が、1人の理科教師を
つき動かし、日本熊森協会の設立や具体的な保護運動を造って行きます。日本各地の森に
共同出資して土地を買い取り、広葉樹を植林しながら保護地としていく具体的な活動には
壮大な夢とエネルギーを感じました。仲間に加わりたいと思っています。
クマがかわいそう
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クマやイノシシが里に出てきて射殺されるたびに心が痛みます。飼えなくなったペットが処分されるのも、あれだけ重宝されていたマングースが害になったので一転殺されるのも…。
罪のない動物が殺されても、ただかわいそうだな、と思っているだけですが、この本の人たちは違いました。
「誰かがなんとかしてくれる…。」
「で、誰かって誰? え? 誰もいないじゃん…!?」
と、いうわけで、自ら行動しはじめたのです。
この本にはその記録が臨場感豊かに描かれていて、一気に読みました。
「有害獣」についても触れていましたが、非常に考えさせられました。
人間が本当に自分勝手に決めた言い方で、動物にしてみればとんだ災難だということ、傲慢な物言いだといいうこと、多くの人に知ってほしいです。
今年は全国的に山が不作だそうで、里に出てきたクマやイノシシや捕殺されるケースがふえるかもしれません。
私もなんとかしたいと思います。
ちょっと主観が強いかな
★☆☆☆☆
「 読み物 」と割り切ってしまえば、よいのかもしれません。
本で感動し、この団体に協力したいと思いました。
しかし
団体の趣旨を知るにつれ、到底賛同できるものではなくなっていきました。
人の心を動かし、環境問題の一部に関心を抱かせることができている
という点は評価しますが
この作者や団体の主張を鵜呑みにされる方がいたらと困るな
という思いから☆は1つにさせていただきました。
この本で、環境問題に関心をお持ちになった方は
せっかく湧き上がった思いを
やみくもに団体への賛同という形ではなく
まず
現実を知ることから始めてみてはいかがでしょうか?
そして、感情論ではなく
人間と自然環境がうまく共存するうえで
どうしていくことがベターなのかを各人が考えていくことが一番大事だと
あらためて思います。
奥山保全を国民大運動にしよう
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熊森協会の会長さんの渾身の力作。
奥山保全を国民大運動にしよう、そうしなければ、日本は農業も漁業もダメになるし、災害やおいしい水が飲めなくなり、滅びてしまうということが、分かり易く、内容豊かに書いてあります。
日本の環境問題の勘所は奥山保全です。間違いありません。
ノンフィクションですが、奇跡のような中学生パワーには泣かされます