現在につながる時代
★★★★★
前作、「誰も『戦後』を覚えていない」は、戦後も高度成長と共に生きてきた私なぞには、
想像もできない戦後を教えてくれました。
祖母や両親から聞いていたこともありますが、断片的なものでしかありませんでした。
そして本作は「昭和20年代後半篇」とありますが、前作とは違って、著者の視点がより入っている分だけ重いものでした。
敗戦後の混乱から高度成長期の昭和30年代の直前までに、何があったか?そして何が変わったか?無くなったものは何か?
この本で知ったことが沢山あります。
最終章が秀逸です。単なる事実の書き連ねではなく、事件とその内容から、今につながる視点を見せてくれます。
昭和20年を境に変わったと言いますが、それは一部だけです。戦前から変わっていないものもあるし、変わったものもある。
そんな隙間の時代に、21世紀初頭の今にある問題の「種子」があったことを教えてくれました。
これは著者の慧眼です。少々大げさな言い方かもしれませんが、著者の「史観」を感じました。