働き一両・考え五両
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ただ働いているだけでは1両しか稼げない。
頭を働かせて五両稼がなければ。
かなり本質をついた名言だと思いますよ。
常に頭を働かせて利益を出そうとする。
嫁も上流階級の人間をもらい、それに追いつこうと努力している姿は爽快でもある。
とにかく印象に残ったのがドケチのお安。彼女は働き一両を継続する象徴なのかな?
50年をかけてビルのオーナーにまで女手ひとつで上り詰めるわけだが、その過程が壮絶であると感じるし、またそれくらいの覚悟がないとそこまで上り詰められないのだなと感じた。
自分が生まれる前の作品ですが、時代を感じさせない本当に面白い本でした。
■相場に関わる初心者からセミプロの方まで広く推薦します。
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・幾ばくかの因果を感じています。本日(2007/3/22)、著者である城山三郎氏の死去のニュースを目にしました。この本の素晴らしさから他の著書も読んでみようと思った矢先でした。この本は初版は昭和49年と非常に古いですが現代にも通じる非常に含蓄深い内容でした。相場に関わる初心者からセミプロの方まで広く推薦します。私には以下の3点が印象的でした。
・1.主人公・豆二から:鼠取り→鶏→米相場(順張り)→売り&ヘッジ→など進化の過程やそれぞれのビックNewsにおける思考法・対処法など参考になりました。彼の三つの教訓。
1.義理人情にとらわれずソロバンに徹する 2.ほどほどの儲けを着実に積み重ねる(サヤ取り) 3.イチかバチかではなく、豆を二つまくような戦法を取る(ヘッジ)
・2.助演女優・お安: 人によって相場への向き・不向きがあることがよく分かる。お安はビジネスマンとしては一流だが相場には不向き。昨今、投資ブームで”コツコツ”タイプはビジネスマン失格の烙印を押されてしまう勢いですがそんなことはないよ、と励まされる感じです。
・3.名脇役・三六:相場師の心意気に清々しさを感じました。激しい浮き沈みに関わらず、淡々と状況を受け入れ、人生の最後まで相場を張り続けた、点に。
読み終えて爽やかな気分になる
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現在のヤマタネの創設者である山崎種二を描いた小説です。私の勤務先は兜町にあり(証券会社ではない)、山種証券のビルが地下鉄の出入口になっていたため小説を読んでいて非常にリアルに感じる部分がありました。残念ながら現在、山種証券は三井住友グループになり、山種美術館も移転してしまい兜町から山種の文字は消えてしまっています。
種を二つまいて一つを刈り取るような生き方の意味をこめて種二(小説では豆二)という命名となったようですが、生き方も「働き一両、考え五両」を徹底し堅実に生きる姿がよく現れています。
山種さんは実際にも大きな耳を持っていたようで、耳で聞く営業を徹底していたようですが、これは現在のどのような業種の営業も変わらないと思います。逆にインターネットの普及により情報量は比較できないほど増えた現在、本物の情報をいち早く精査し収集出来るのは自分の目と耳だけだと改めて知らされた気がしました。
本書は非常にテンポ良く読み進めていけますし、参考になる面が多いお勧めの一冊です。
読んでいて楽しい本
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「相場の神様」山崎種二がモデルの傑作小説。伊東ハンニや石井定七など有名な相場師も登場。関東大震災や2.26事件等の歴史上の出来事や赤いダイヤ事件、旭硝子仕手戦など相場史に残る大事件についても触れられているので、歴史ものとして読んでも面白い。なんといっても主人公が憎めなくて可愛いし、特に上流階級出身の賢夫人とのやりとりが、温かい夫婦愛を感じさせてくれる。副主人公たちも魅力的で、読んでいてほんとうに楽しい。
史実にほぼ忠実な内容
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この小説の主人公は、私の家族と親交がありました。父方の祖父兄弟とは美術品収集や文芸関連の集まりでつきあいがあり、母方の曽祖父とは幼馴染で晩年はやはり美術品収集の仲間でした。かなり昔に、両親に勧められてよみましたが、内容は史実にほぼ忠実であるそうです。子供の頃の逸話は、これからの世代の人々に学んで欲しいと思います。