自己犠牲
★★★★★
異世界ハルケギニアでの戦争がこの巻でいったん区切りをむかえます。いや、ほんと読んできてよかったなと思える巻でした。
日本に帰りたいと願っていた才人が選んだ答え。それは愛するルイズの変わりとなって七万の軍勢が迫る、しんがりを一人で務めること。死と引き換えに愛する者を守ろうとした才人の雄姿には感動なしでは読めなかった。
才人はこの巻であきらかに主人公の地位を揺ぎ無いものにしてますね。表紙に描かれたルイズのウエディング姿の意味も中身を読んで納得と感動!
区切りの巻だけあって力のこもった仕上がりになっている銀の降臨祭、オススメです。
サイトの信念
★★★★★
ライトノベルの中では、もはや5指に入るほどの知名度であろうゼロの使い魔の第7巻。今作では恋愛面、政治面共に大きく進展し、新しいキャラクターも登場します。
自分は、ルイズとシエスタならシエスタ派なので、宿での彼女の健気な言動はものすごい衝撃で、惚れそうでした。
しかし、それ以上に衝撃だったのは終盤のサイト。ルイズに見限られたと感じてもシエスタに甘えることなく、死ぬとわかっている七万の兵を足止めする殿を、ルイズのために務める姿にはしびれました。男なら誰でも、若い頃はこうありたいと思った理想像だと思います。
ライトノベルは体育会系など、あまり文章を読まないタイプの人には縁がないかもしれませんが、そういう人にとっても面白いと感じることのできる作品だと思います。
サイトの決意
★★★★★
戦争も、死ぬのも殺すのも嫌だ。そう思うのは現代日本人として当然でしょう。
しかし、文化背景の違う人間にとってそれが当然とは限りません。
今回は戦争を通して二人の価値観のすれ違い、そしてそれでもなお、サイトはルイズのために戦えるのか?という、『ゼロの使い魔』の中では今までになく重い内容になっています。
ルイズは虚無を得たことで少し迷走(あるいは成長とも呼べるものではありますが)します。
2巻のルイズと比べて見れば同一人物とは思えないくらい貴族貴族した発言をし、それがサイトを悩ませることに。
我侭で、高慢で、今まで散々助けてきた自分を振って(少なくともサイトはそう思っています)、そのくせ意見も聞かずに戦場まで人を駆り出すような女。
どうせ自分を名誉を守るための都合の良い道具程度にしか見ていないであろう女。
貴方はそんな女を愛し続けられますか?
貴方はそんな女のために戦い続けられますか?
貴方はそんな女と彼女へ発した「好き」の一言のために死ねますか?
是非サイトと自分を重ねて読んでもらいたい作品です
才人がすごい!
★★★★☆
ルイズと共に従軍することとなった才人。異世界人であり、貴族であるルイズと平和な日本で育った才人では、従軍しているとはいえ、戦争に対する気持ちはまるで違っていた。名誉を重んじ、名誉のためなら死をも厭わぬ覚悟を口にするルイズと、そんなルイズに違和感を覚える才人。先の作戦で自分たちを守って、仲間が死んでいくという現実に直面した才人は深く、落ち込む。「これは戦争なんだから」才人を励まそうとルイズが口にする言葉にも才人は違和感を覚える。虚無の使い手であるルイズを手駒としてしか見ない軍上層部にも反感を抱く才人と、軍功を挙げようとするルイズの気持ちはまたまた大きくすれ違っていき...
ルイズを人を駒としてしかみない戦争。そんな扱いに違和感を覚える才人は、それが、ルイズが自分を見る見方ではないかと恐れいていることに気づきます。才人を異性として意識しながら、それを表に出せないルイズは、他の女の子にふらふらする才人に怒りを覚え、冷たくしますが、才人は、ルイズが自分を道具としてしか見ていないのではないかと深く傷つきます。そして、そんな二人のそばで才人にアタックを続けるシエスタと自分の復讐のためだけに、多くの人を、大切な友を戦場においやった王女アンリエッタ。だれもが自分の気持ちに一生懸命で、そして、自分の行動に責任を取らされることになります。今回のラストは、才人が頑張ります。すごいです。そして、読んだ人は、すぐに続きを読みたくなってしまうでしょう。7巻読む人は、8巻もご一緒に!!!
ラストがすげぇ…
★★★★★
前回に引き続き戦況報告的な文章が多いです。
しかも前半サイトが酒飲んでばかりでグデグデすぎるのはちょっと残念。
だがそれを帳消しにしてもなお星5にさせるのは、やはりラストのサイトが凄かったから。
ルイズへの純粋な気持ち。それを守るために戦うサイトの英雄っぷりの描写は神掛かってます。
一見今までと同じに見えますが、全然違います。カッコ良さの格が。
これを読みきると猛烈に次を読みたくなるので、前もって8巻を買っておくことを薦めます。