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地雷処理という仕事 カンボジアの村の復興記 (ちくまプリマー新書)

価格: ¥819
カテゴリ: 新書
ブランド: 筑摩書房
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地に足の着いた、「現場」に徹底的にこだわった現地支援のあり方とは? ★★★★★
 1992年のカンボジアPKOに参加した自衛官が、「人生の目的」を発見してしまったのは45歳のときだった。それから10年間、温め続けた夢を実現するため55歳で定年退職後、自衛隊関係者がつくった地雷処理のNPOの一員としてカンボジアに渡り、カンボジア語はおろか英語さえままならないまま、徒手空拳で事務所を立ち上げることから「第二の人生」の第一歩が始まった・・・
 この本は、あくまでも「現場」に徹底的にこだわりつづける著者が、地雷処理・不発弾処理のスペシャリストとしての専門性をフルに活かした海外現地支援活動を、地を這う虫の眼で記した記録である。

 著者が活動拠点に定めたのは、もともとポルポト派(=クメール・ルージュ)の支配地域だった村である。現地在住のただ一人の日本人である著者は、「現地」に仕事をつくるという目的から、住民から地雷処理の専門家を募集し、専門家としての訓練を行いながら地雷処理を行っている。現地事情から機械に頼れない手作業による地雷処理であり、しかも住民参加型である。この危険なミッションの遂行をプレイング・マネージャーとして指揮する著者は、地雷処理の専門能力と部下を統率するリーダーシップ経験をフルに活かして貢献している。

 どうしても援助というと、井戸を掘るなどの施設建設というハードに偏りがちであるが、そのハードを住民が自分たちでメンテナンスしていくためのソフトを教え込むことなしには、真の自立からはほど遠い。そのためには、住民の意識改革をつうじた人づくり活動が必要であり、これがひいては現場主義の復興活動、平和構築活動となる。
 「支援される側」が自分たちの問題として主体的に取り組まない限り、活動は一過性のものとして終わってしまい、けっして継続的なものにならない。「支援する側」と「支援される側」、その双方に責任があり、その両者がともに働くのが「現場」である。あくまでも「現場」に徹することによって、その成功例がモデルケースとなり、拡がっていくという好循環が期待される。
 経営コンサルティングに従事している私にとっても、あらためて教えられることの多い本だった。
 
 中年になってから「人生の目的」を発見した著者の「第二の人生」は、しかしながらけっして平坦なものだったわけではない。家族を説得してカンボジアに渡るまでの苦労、現地であたらしい事業を立ち上げる苦労と喜び、なかなか地雷処理の仕事ができなかったために経験したバーンアウトという精神疾患。こういったことを包み隠さず語る著者の姿勢には、多くの人が共感することだろう。
 海外における地域支援のあり方についての本としても、カンボジア関連の本としても、あるいはまた定年退職後の人生論としても、いろんな読み方の可能な本である。ぜひ一読をすすめたい。 
カンボジアになぜ地雷が多いのか。 ★★★★★
カンボジアになぜ地雷が多いのか。
不発弾処理から、地雷処理へ。
カンボジアの復興の鍵を握る。
不幸な事故も伝えている。
何ができるというわけではないが、歴史の貴重な記録だと思う。
こういう活動が行われている ★★★★☆
他の方のレビューにある通り、地雷処理そのものについてはそれほど詳しく書かれている訳ではありません。普段は知る機会の無い事だけに、その点の緊張感・難しさをもう少しだけ詳しく描かれていたなら、村での日常生活とのコントラストが際だち「お話」としてはもっと面白くできた気もします。
しかし、全体に流れる、著者の率直な人柄からくる後味の良い読後感と、何より、貴重な現場の体験記としてお薦めします。
400〜600万個という全ての地雷を処理するには数百年かかると言われているが、重要なのは「安全になった土地の面積である」という見方にはハッとさせられました。
最後のページ、地雷処理され「クリア」になった土地に芽吹いた大豆の写真は、とても強く印象に残りました。
専門的な話は少なく、 ちょっと物足りなかった ★★★☆☆
地雷処理に関する記述は、
基本的な作業や現地の現状については
理解はできたけど専門的な話は少なく、
ちょっと物足りなかった。
筆者のJMASの活動や身内話がメイン。
内容自体はやさしいので2時間もあれば読み終える。
筆者の活動を応援したいと思う。