21世紀映像黙示録
★★★★☆
フランシス・コッポラとジョージ・ルーカスによるインスピレーションほとばしる映像作品「ポワカッツィ」と「コヤニスカッツィ」の2本組BOX。
前者は、ホピ族の言葉で「自己の繁栄のために他人の生命力を食い物にする生き方」を意味し、後者は「平衡を失った世界」を意味する。
これらの作品は二つで一対をなし、前者は貧しい側から、後者は先進国から、それぞれの姿をフィリップ・グラスの音楽に乗せて映し出す。
鳥になって、あるいは天使となって、地球を一つの生命体としてグローバルに見つめることができます。
世界のアンバランスをまざまざと見せつけられると共に、本当の幸福とは何かということをとことん考えさせられる。
これは単なる映像作品ではなく、芸術とも呼べる「21世紀映像黙示録」である!
・・・と、ここまでは表向きの感想。
こういった映像作品の醍醐味というのは、作者の全く意図しないところで各自にもたらされる様々な閃きや連想の類にあると思います。(続編のナコイカッツィに続く→)
コヤニスカッツィ
★★★★☆
最初の20分ぐらいだろうか、すばらしい音楽にのって、湧き出ては消える雲をはじめとする
美しい自然を映した画面の連続に「ああ、生きていて良かった」と思うほどの喜びを感じた。
そしてその後の同様に延々と続く都市の風景の思わぬ美と、不安をかきたてるような画面に目を奪われた。
だが、冷静になって考えてみると、最後のロケット爆発のシーンに至るまで、
かなり露骨なメッセージ性があると思う。この21世紀になって、9.11
(そういえば辺見庸氏はあの貿易センタービルの崩壊を見ながら、
この映画の一シーンを思い出したとどこかで書いていたっけ)を経験して、
その後に続く戦争と環境破壊を経て、この映画をもっと多くの人が見て、
そしてそのメッセージを本気で考えるべきだろうと思う。
非常にわかりやすい良質のプロパガンダ映画(悪い意味ではない!)である。
メディアの優劣を問う前に…
★★★★★
レビューを最初に書き込んだ人から、画面のサイズや、音質など、この作品の本質から外れた議論が続いているけど、一旦話題をかえるよ?…………………………………………これは、エイゼンシュタインの[ポチョムキン]などのように、極めてユニークで重要な作品だ。好き嫌いは別としてね。だから、映画 いや、映像表現に興味のある人には、一見の価値があることを保証する。その証拠には、コッポラがバックアップを請け負い、日本では単館上映のマイナー作品ながらも数多くの映画評論が、本作を取り上げたこと、又 公開後まもなく、あきらかに影響をうけたCF、ビデオクリップなどを、しばしば見られた事からも明らかだ。………………………………………………しかし、こういった類いの作品は、なかなか一般の目に触れる機会は限られてしまう…。どんな形式であれ体験を共有すべき作品だと思う。そこで、最初の話に戻すが、コスト及び、普及している器材、取り扱いの簡便な事からも、DVDビスタ版というのは、現実的な妥協点だと思う。(オリジナルを望むのは筆者も同感だが。)
やっぱりスタンダード?
★★★★★
LDとDVDを2画面同時再生で比較してみました。
DVDのほうはやっぱり発色も解像度もとても良い。
LDの音声は、まだデジタル音声のついていない頃の発売だったので(CXノイスリダクション)、
DVD版のほうがまだ良いようです。
もうひとつの比較対象としては再録のDVDaudio(5.1)のほうがはるかに良いですが、
これはそもそも演奏も録音も違うので仕方がないでしょう。
古い音源は録音自体が良くなかったと想像できます。
さて4:3なのか16:9なのかですが、(わかりやすく4:3と16:9と呼ばせていただきます)
16:9では単独で観てもやはり頭が詰まった感じがします。
比較して見れば普通のカメラマンならどちらを意図するかは一目瞭然。
とくにビルの爆破解体シーンでは16:9では頭切れのものが多いですね。
どうやらIRE (Director's Premium Edition)版というDVDも何処かに存在するらしくこちらは4:3。
LDをお持ちでなくそれでも疑問に思われる方は、画像を比較しているサイトもあるので検索してみてください。
また、もともとは自主制作のような低予算映画ですからスタンダード(4:3)じゃないかと思います。
もう廃盤なんでしょうかねぇ。ただの品切れなら良いですが・・・
オリジナルは本当にスタンダードなのか
★★★★★
LDではスタンダードだったのに、このソフトは上下カットのビスタサイズなのはけしからんと仰っている方がおりますが、果たして監督の意図はどうなんでしょうか?直接その監督に確認した結果なのでしょうか?この映画はビスタサイズがオリジナルではないかと私は思いますが、そう考える理由を挙げます。①ビスタサイズによる構図でまるで違和感がないこと。むしろスタンダードにすると上下の空間が間延びするのではないかと思われるくらいです②スタンダードのフィルムが残っているからオリジナルがスタンダードだと考えるのは早計であること。70年代以降はスタンダードで撮って劇場ではビスタサイズで上映するという方式が一般化していたからです。それどころか、劇場によってはスタンダードサイズがむしろ上映出来ない所がほとんどだった時期もあったぐらいで、かつて70年代に「巴里のアメリカ人」をリバイバル公開したときにはジーン・ケリーの頭と足がちょん切れる映画館ばかりで問題になったこともあります③たとえば「タクシー・ドライバー」などは長らくスタンダードのサイズだと思われていて、日本でのロードショー公開もそう、最初のソフト化でもそうでした。ところが監督のスコセッシによるとこれはビスタサイズの構図で撮ったということが判り、最近のソフト化では全て、上下をカットしたビスタサイズに修正されています―─以上のようなことから、この映画はビスタサイズが正しいサイズだと考えます。そうでないと考える方はその根拠をまたこの場で教えて下さい。