非常にバランスの良い入門書
★★★★★
本書は三つの章からなる。WTOの基本から各協定の説明、そして様々な課題を多方面から捉えた
詳しい説明と続く。一読してバランスの良さが心地よく感じるし、なによりイデオロギー論争に終始
しがちなこの分野で、冷静に分析的な視点を与えてくれる点が本書をお薦めするポイントである。
国際政治や経済、あらゆる場面で避けては通れない課題を、わかりやすく、それでいて決して浅薄な
議論にならずにコンパクトにまとめている点では、万人に薦められる良書である。
教科書としてもいいし、普通に読んでも無理がない。実際に3章あたりは身近な事例が取り上げられ
ているので、読み物としても面白い。冒頭に略語一覧、様々な用語説明をコラム形式で散りばめてい
る点など、サービス精神も旺盛な内容になっている。活用の範囲は広いだろう。