責任という言葉は容易でない。筆者、成田氏は「自分が行った行為に関して責任がある」という文脈での責任という意味を、その責任が生まれる自由という視点から考察を加えていく。どのような場合ならばそれが責任ある行為となるのか、複数の仮説を用いて解明しようとしている。「別行為可能性」「仮意思実現説」「意思実現説」「自由意志説」「本心実現説」など言葉だけではわかりづらいが、責任という言葉を用いる際に一度は考えておきたい視点だ。
わかりやすい考え方から、徐々に踏み込んで成田氏の現在の思考の状態までをたどる。たびたび出てくる責任における自由の定式化とその説の名前を照らし合わせながら読めば、責任という言葉の不安定さを認識していくだろう。