理解できない社会?
★★★☆☆
カーストというと身分制という解釈をしていたが、それほど単純に解釈できることではなく歴史的・宗教的背景に政治判断も加わり複雑さを増長させている。
薄い冊子であるにも拘らず難解な語句が多く、決して読みやすい本ではなかったが、「差別的な”制度”」といういわゆる文化のようなものの入り口くらいは垣間見えた。
実は日本にも同じような制度が残っている。天皇家に仕える女官・女儒・雑仕、の仕事だ。テーブルを拭く者と、床を拭く者は違い、ひとりが両方の仕事をしたりしてはいけないのだという。またこの習慣は宮中三殿を宗教的儀式を護る内掌典の仕事にも色濃く残されている。その代表例が次清(つぎきよ)と呼ばれる穢れを忌む習慣だ。
カーストにしても天皇制にしても宗教を中心とした習慣から生まれた差別制度であるということだろう。