経営者の評価ほどうつろいやすいものはない。
★★★★☆
西武の物語は長い。創設者である康次郎、世界一の富豪と呼ばれた義明、作家でもある清二。それぞれの成功だけを背景に、その闇の部分を語ったものは多かったが、義明失脚により、堤のオーラが消滅した後の展開を詳細にトレースしたものを探している人には、待望の書である。
それにしても、今からみると、なんとも愚かな話である。ほとんど経営の態すらなしていなかった西武グループ、危機に直面してからの義明の当事者能力を喪失した対応。なんとも崩壊する時はあっとである。しかも営々二世代に渡って、非合法な手法を駆使してまで維持してきた富が、迅速、効率的に他者の手に渡っていく様は、ドミノかオセロのようである。もっと他に富の使い道がなかったのだろうか。