自殺は「自由意思のない強制的な死」ということをクリアに提出している良書。自殺に関する誤解が氷解する。
★★★★★
昔、『完全自殺マニュアル』という本がベストセラーになったけど、
これは、『自殺予防マニュアル』としての本。
自殺を望むものがいるとき、自分がとるべき行動は?
内容は具体的で非常に濃い。
「自殺したい」と特定の相手に打ち明けたとき、
「自殺したいなんて言っているうちはまだまし」と、
解釈している人はすぐにこれを読んで考えを改めなおしてほしい。
<自殺>は、
[ヒトが「生きたい」「死にたい」の間のジレンマに陥り、そのジレンマの中で「死にたい」を選択せざるを得ないほど精神病理的に追い詰められた、自己意思によるものではなく強制的な死]だという著者の定義は素晴らしく的を得ていると思う。
新書版で自殺に関することだけではなく、
うつ病に関する最初の入門書にもなりえるので、
(うつ病の最悪の病態が自殺なので)、
メンタルヘルス、自殺について考えることが、
少しでもあれば手に取ってみてほしいと思います。
自殺についての知識がコンパクトに
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この本の長所
自殺についての広範な知識がコンパクトにまとまっているところ。年代ごとの自殺の特徴、世界の情勢、心構え、主にうつ病の治療法(うつ病が原因で自殺する人が多い)、行政の取り組み、ケアと、知識の範囲が過不足ないように感じた。
この本の短所
1.家族を強調しすぎる嫌いがあると思った。
2.精神科医だからか、「困ったときには精神科医に」的なコメントが目立った。
しかし、これらは、専門家に相談することが妥当だったりするので、星を減らすほどでもない。
結論―長所星5つ、短所は星を減らさず、星5つそのまま。
バランスのとれた良書
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著者は精神科医としての経験から、自殺とはどういうものであり、自殺しそうな人にはどのように対応すればよいかをていねいに記述している。私は、「第2章 自殺の心理」の記述を、一つひとつかみしめ、たいへんに興味深く読ませていただいた。そして、自殺予防としてはもちろん、職場のメンタルケアのためにも多くの人が読むべき本だと思った。
また、自殺した人の妻のように、残された人の苦しみについてもしっかりと書かれている。私は同じ職場の人が自殺し、少なからずショックを受けた経験があるので、しみじみと読ませていただいた。
一方で、世界における自殺予防の取組み、今後の予防施策のあり方のような記述もていねいに解説されており、本当にバランスのとれた良書だと思います。
いま、いったい何ができるのか?
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自殺者の数が交通事故で死亡する人の4倍。
この事実を耳にするようになって、何年経つだろう。
職場で何回話してきただろう。
何回耳にしても、口にしても やりきれなさが残ります。
この本の中では、
うつの初期から進行と軽減していく過程がわかる「症例4」と
残されたご家族と向き合った「症例5」が印象に残りました。
考えさせられる内容です。
...いま、いったい何ができるのか?、と。
大切な人を死なせないために
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今僕は、自殺したいと願っている大切な人を抱えている。
その人の思いはどうなっているのか・・・
もちろん人の思いは、本を読むだけではわかりっこない。
でも、下手なかかわりはいのちを失わせることに繋がる。
100%死を決めて自殺する人はいない。
いつも生と死を激しく揺れ動いている、という指摘、
その意味で自殺は自らが選んだものというより、追い詰められた
選ばざる死であるという著者の主張は、
僕も大声で伝えたいこととなった。
本書を読んでよかった。気をつけたいことが良く分かる。
ものすごく実践的だった。しっかりした入門書です。
死なせたくない、大事な人がいる方、お勧めします。
そして、僕の大事な人も、一緒に生きていくことが出来ますように。