実在した両脚義足の撃墜王、ダグラス・バーダーの伝記映画です(1956年公開)。
英空軍に入隊した若きバーダーは、乗機の主翼が地面に接触して横転、両脚の膝から下を切断するという重傷を負ってしまいます。一時は退役しましたが、ヒトラーから祖国を守るため空軍に戻り、義足の戦闘機乗りとして活躍します。
　生死の境をさまよい、命と引きかえに両脚を失ったバーダー。空軍の仲間や看護婦たちに励まされ、絶望の縁から立ち上がります。そして、知り合ったばかりのテルマ夫人に会いたい一心で、医師が呆れるくらいリハビリに挑み、単刀直入にプロポーズ！空軍復帰後は優秀な指揮官として、士気の低いカナダ人の飛行中隊を、持ち前の行動力と情熱で、屈指の精強部隊に育て上げていきます。そんな、何事にも前向きで、怖いもの知らずで、負けず嫌いのバーダーの姿を、バーダー自身が推したというケネス・モアが、熱くコミカルに演じています。暗さは全く無く、障がいを克服する男のドラマとしても、空戦映画としても、見応えのある作品でした。
　本作の撮影に使われた航空機は、アブロ504、ブリストルブルドッグ、ホーカーハリケーン、スピットファイアMk.16e(涙滴型キャノピー)など。時折挿入される大戦中の記録フィルムも、本作がモノクロ作品なので違和感なく、また特撮シーンも丁寧に作られています。
　(モノクロ/本編130分/ビスタサイズのスクイーズ収録/モノラル/片面二層/60f収録)