語用論の基礎から応用が理解できる
★★★★☆
最近言語学の中でも注目を浴びている語用論であるが、概して欧米の翻訳が中心になっているので、日本語での語用論について学んでみたいと思っていた。特に、日本語の直示表現である「こ・そ・あ」表現について関心をもって読めたし、また終助詞「よ・ね」について話し手・聞き手の立場から表現が異なってくるという点については、なるほど!と関心させられた(私が入門者であるからかもしれないが)。
章立ての仕方がこのシリーズの特質なのか、Q&Aの形になっているが、一つのQに対して長い解説となっているところがこのシリーズのユニークなところだとは思うが、個人的には従来の教科書型の分け方のほうが読みやすいかなと感じた点で星1つを減らさせていただきました。
基本的なことがわかってきたので、また本書で紹介されていた各論について読み、知識を広げたい。
語用論の体系を知る入門書
★★★☆☆
学校では、国語と数学は、他の教科とは一線を画す最も重要な教科と位置付けることができると思う。ところが、その取り扱っている内容のレベルを比較すると、数学という教科がごく初等の段階から一貫した体系を持っている点で「最も内容がはっきりした教科」であるのに対し、国語は多くの学習者にとって「最もあいまいな教科」と感じられていると思う。国語というと「読み・書き」と「文学史」が事例蓄積的に教えられるだけの教科であると理解しているのは私だけではないと思う。「文法」からの発展として、本書が示すような語用論に関する理解というような分野は教育課程からすっぽりと抜け落ちていると感じる。教育上の「国語教科の体系化」を考える上でも、本書は非常に有益な教材となりうると私は感じた。「語用論」の研究が今後さらに進み、その構造が明らかになることを望みたい。