大帝の子孫」を主張するフランス王家に対抗するために、イギリスのプランタ
ジネット家は、アーサー王伝説を主張した、というわけです。そのため、アー
サー王史の「物語化」がすすみ、膨大な物語群が生まれていったことがわかり
ます。つづいて、アーサー王の生涯について、彼は死んだのかという問題も含
めて述べられ、更にアーサー王物語の要素、その後の各地での発展などがまと
められ、巻末では作品抜粋が読めます。
非常に膨大な「アーサー王伝説」というものを体系的にわかりやすくまとめて
あり、とりわけ政治的な目的で利用されたという主張にはなるほどと思わされ
ます。中世仏文学研究者としての豊富な知識をもとに書かれた、おすすめの
概説書です。