知らなくてもいい自動販売機を作った売ったワールド
★★★★★
重電としては余り強くなく家電に進出するもうまくいかなかった富士電機
その富士電機が自動販売機に進出しついにはライバルの三洋の部門まで吸収してしまう話
富士電機はシーメンスからの技術供与(ていうか合弁)が多かったから
コインの判別機やコンプレッサーなどのコアな部品はよそから買ってきた
でもOEMは不調だったので自販機を作ることはちゃんとやった
日立や新三菱重工は自前主義がたたって新機能への対応に遅れてしまう
あげくに全体の事業から見れば小さい事業だからと撤退してしまう
またコカコーラ・ペプシ・キリンなどのベンダーとの等距離外交の難しさも
結局はシェアをとって投資に回さないと生き残れない
そういう業界の当たり前の姿も
あとちっとも美味しくないB級ベンダーの謎もわかるよ
自販機にもメーカー競争があるんだぁ!
★★★★☆
あまりに普通にありすぎて気にも留めない自販機の誕生物語。
主人公が、富士電機という会社に入社したとたん支店の営業所に飛ばされ、そこから自販機にめぐり合い、社長にまでなる。
その間の自販機の他のメーカーとの競争や開発などが書かれています。
これ一冊で自動販売機市場の盛衰、現在に至るフレームがよくわかる
★★★☆☆
戦後日本における自動販売機市場の盛衰史だ。
「日本全国にある自動販売機の数は五百五十万台余り。米国に次ぐ数である。人口一人当たりでは米国の二倍、世界一の不普及率」。
自動販売機の「総販売額は年間約七兆円」で「コンビニエンスストアの売り上げとほぼ同じ」、「デパートの売上総額に迫るもの」。そして「その中身の四割は飲料が占め、タバコが二八%、乗車券や入場料が二五%」
こうした数字だけを追うだけでも充分興味深い。
“自社技術へのこだわり”といった、ある種「プロジェクトX」的な、きれいなストーリーを持たない富士電機が、業界トップに躍り出たっていうあたりの機微も面白い。自販機自体っていうよりは自販機市場に名を刻んだ「会社」と「人」にスポットをあてている。これはこれで一冊の本になる分量だし、自販機市場のフレームもよく理解できる。
一方で、ちょっと食い足りないっていうか、ますます興味が沸いちゃった点が自販機自体の特殊性って部分。副題に“7兆円の売り子”ってあるけど、自販機って店員であり店舗でありバックヤードであり保冷庫であり、流通をすっ飛ばしたチャネルってことではネットマーケの登場するずっと前からある訳だしね。買う側からすると、人を介すわずらわしさがないって点において、ネットで物を選ぶ感覚って、自販機で体験済みなんだよね。そこらへんの社会学的、心理学的な見地からの自販機研究なんてのも面白いアプローチなんじゃないだろうか。あと、瓶、紙コップ、缶、ペットとかホット/コールドとか大型化、スリム化、多品種化に対応するメカニズムの部分ってのも相当面白いよね。子供の頃、デパ屋で目にした噴水型ジュース自販機なんていまだに脳裏に焼きついてるもんな。まぁ一冊の本で諸々の好奇心を満たすってのは無理がある訳で、この本を起点にちょっと自販機に興味持っちゃった、そんなきっかけを与えてくれるには充分の本である。
う〜む。。。
★★★★☆
自販機に賭けた男たちが熱く描かれている好著だと思う。
プロジェクトX(ちと古い?)ほどお仕着せがましくない
ところがまた良い。
利用したことがない人はいたとしても、見掛けたことのない人は
いないと言っても過言ではないほど、日本人に身近な存在(?)の
自販機だからね。こんなドラマが隠されていたとは。。。
そういえば、私自身も昔に比べて最近自販機を利用する機会が
減ったよな?やっぱコンビニの影響か…??
この本を読んで以来、商品を買うでもないのに
自販機の前に立ち止まり、製造元を確認するのが癖になってしまいました。
ビジネス戦記物です
★★★☆☆
この本には日本の自販機業界の偉い人(さしずめ戦国武将?)しか出てきません。
中でも富士電機の武将にスポットが当てているようです。
良く見ると、サブタイトルにしっかりと明記されているわけですが、
自販機好きの私はうっかり飛びついてしまいました・・・。
自販機自体(機能やデザイン面)には全く触れられておりませんので、
そちら方面の内容を期待される方にはおすすめしません。