野田さん、ありがとう
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本年(2008年)6月に惜しくも逝去された野田氏はテレビマンとして、フジテレビ、日本テレワーク(社長も務められた)で大活躍される一方、SF(特にスペースオペラの分野)の翻訳者、紹介者として永年、われわれSFファンを楽しませ導いていただいた。SFマガジンにはいつも野田さんの楽しい連載記事があったように思える。
本書は単行本「愛しのワンダーランド スペース・オペラの読み方」の改題・文庫化。「スペース・オペラ」とは題しているものの、ハインライン、クラーク、アシモフの三巨匠から、ブラッドベリ、ブラウン、シェクリーなど日本のSF揺籃期にSFファンの支持をうけた作家の名作を分析することによって、「SFってのはこう書くんだよ」と教えてくれている。
いわば、SFオタク第一世代の野田氏ではあるが、その著作にはオタクにありがちな斜に構えた部分は全く無く、そこにいて話しかけてくれているような親しみやすさは最後まで変らなかった。
独身を通された野田さん、われわれSFファンはあなたの子供です。惜しみない愛をありがとう。