近くて遠い東南アジアの国々の歴史を概観するにはいい本
★★★★☆
文庫版世界の歴史シリーズの第13巻は、東南アジア地方の国々の歴史を、紀元前から19世紀の植民地時代までの2000年以上に亘って概観する。
タイ、シンガポール、フィリピンなど国名は馴染みが深いこれらの国々も、その歴史となるとほとんど知らなかった自分にとっては、それぞれの国々の成り立ちや文化など、現代の国々を理解するための背景となる知識を得ることができて、有益だった。
ただ、東南アジアといっても幅広い地域でもあり、時間的にも2000年を超える記述範囲なので、それぞれの描写はあまり深くない。もちろん、この書の性格上いたしかたないのかもしれないが...
しかし、東南アジアの国々について、なんて自分は知らなかったのだろう。世界史自体、ろくに勉強はしていなかったが、より距離的に遠い欧米の方が馴染みがあるなんて。小中学校の歴史教育の偏向、なんていうつもりはないが、世界の歴史の豊かさを知らずにいることは不幸だと思う。